
都内屈指のザンギの名店の味は?
ザンギと言えば、北海道・釧路発祥の鶏料理で北海道民のソウルフードとして有名です。この名前、中国のからあげ・炸鶏(ザージー)に幸運の“運”を入れたのが由来なのだとか。釧路市内にあるザンギ発祥の店「鳥松」で修行したご主人が武蔵小山に開店した『若鶏ザンギの店 釧路食堂』は、元祖ザンギが味わえるとして、カラアゲニストの間ではかなりの人気を誇っています。
こちらは揚げ油にラードを使用。それも50年以上注ぎ足しながら使い続けているとのこと、油に鶏のうま味がしっかりと溶け込んでいるそうです。オーダーしたのは「ザンギ・骨なし」「ザンギ・骨あり」いずれも720円。まずは骨なしからいただきました。ラードで揚げているだけあり、香りも衣も香ばしい。おまけに衣には不思議なほどのコクが。さすが50年以上注ぎ足した揚げ油、衣にも鶏のエキスが染み込んで深い味わいを醸しています。
骨ありは、モモ、ムネ、ササミ、手羽、アバラなど、複数の部位を楽しめます。ムネはフワフワ感とホクホク感が抜群。モモは、骨なしよりもジューシー。骨のまわりに付いた衣はカリカリ食感で、旨みもしっかり染みていて、これまた絶品です。
こちらのお店には、ザンギ用の特製ソースが用意されています。ウスターソースをベースに数種の香辛料をブレンドしたものだそうで「鳥松」の創業者が開発したものを再現したのだとか。このソース、ザンギとの相性が実にいい。辛さの中にほんのりと甘みがあり、これがザンギとまったくケンカしない。コクのある衣とうまく融合してくれるので、さらに美味しくいただくことができました。
私が骨なしをいただいている間、カウンターの向こうでご主人が骨ありを用意してくれていました。「ドン!ドン!」という音とともに、中華包丁で肉を切り分けています。取材のお願いも快く受けてくれ、当日もやさしく接してくれたご主人。包丁を握るときの表情は伝統の味を受け継ぐ“職人の顔”そのものでした。

●SHOP INFO

店名:若鶏ザンギの店 釧路食堂
住:東京都品川区小山4-8-20
TEL:03-3784-8839
営:月~土/18:00~0:00(L.O.23:30)
日・祝/18:00~22:00(L.O.21:30)
休:不定休
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。