豪快で思わずニヤッとしてしまう、食パン丸ごと器のグラパン608g!

目の前にやってきたのは食パンをくり抜いた中が熱々のグラタン。早速計測です。一辺約12cm、高さ約8cm、重さは608g(器の重さを除く)。モーニングだと重いけれど、ランチならちょうどいいサイズ感かも。
「パンは山崎のロイヤルブレンド。スープを入れて焼くのに一番相性のいいパンを探した結果、山崎のロイヤルブレンドがよかったんですよ。グラタンの中身は自家製のホワイトソース。エビ、ハム、ベーコンの他に、タマネギ、キノコ、上にチーズが掛かっています」と話すのは店主の根本さつきさん。

そもそも、この“グラパン”が生まれたきっかけって?「この店は義父が50年前から始めたコーヒーの店なんですが、30年ぐらい前、賄いから始めたものなんですよ。おそらくですがうちが元祖だと思いますね。私たちの代になってからメニューにデミグラスも増やしたんです。元々はホワイトソースのみだったんですよ」。30年前から! それはスゴい。
「小さい喫茶店だから普段はご近所さんが多いんですが、土日になるとグラパン目当てにいらっしゃるお客さん、若い方が多く来られるので、厨房はフル回転です」。と笑いながら話す店主。多い日には40食以上注文が入るとのこと。

食パンをくり抜いた中身、この両サイドにある2つってことですか?「いえいえ、それだけじゃなくて、底を補強するのにも使っているんですよ」なるほど。ただくり抜いてグラタンを入れているのではなく、漏れない工夫もされているんですね。
そして、どうやって食べ進めたらいいんですか?「先にグラタン部分を食べすぎちゃうと、終盤がパンだけになっちゃうからね。パンとグラタン、バランスよく食べ進めるといいですよ」。グラタンを先に行きすぎて、底部のパンの耳だけ残る、のは切ない。まず両サイドにあるふわふわの白いところのトースト部分を食べたら、上部の耳部分を少しずつちぎってまたグラタンにつけて、とグラタンがこぼれないよう耳の壁を食べ進めます。
『デン』のもう一つの名物、高さがありすぎる「クリームソーダ」約38cm!

そして、追加で注文したのが、『デン』のもう一つの名物とも言える「クリームソーダ」。丸いアイスがソーダの上に乗っていることが多いけれど、ここではソフトクリーム、しかもコーンまで乗っているスタイル。
計測してみたところ高さは約38cm。今までチェリーがアイスに乗っているのはよくあっても、ソフトクリーム&コーンはとっても個性的。なぜこうなった?
「義父の時代に、コーヒーフロートの出前が入って。ソフトクリームが剥き出しだとよくないでしょ。何かいいものないかってホコリ除けでコーンを乗っけたのがきっかけなんですよ」と笑顔で話す店主。まさかのホコリ除けって!

「クリームソーダ」だけじゃなく、「コーヒーフロート」や「ココアフロート」にもソフトクリーム&コーンが乗るそうで「今や店の顔だね~」と二代目。
「うちはね、『プリン』もおすすめ。『プリン』の周りにもソフトクリーム乗っているから。周りと上にぐりぐり乗ってるよ~。ただ、仕込みが大変。保存料不使用の手作り『プリン』だからね、こればっかり出ちゃったら大変だから、あまりおすすめはしない方がいいかなぁ」と明るく話します。
50~70年代の洋楽をBGMに、独創的なメニューと美味しいコーヒーが味わえる『珈琲の店 デン』。次回来るときは、もう一つのグラパン「牛すじシチューのデミグラスグラパン」(980円)は決定だな~。でも、おすすめフードと店頭で貼ってあった、「ヤタミサンド」と「テンテンサンド」も気になるし、フロートメニューも他のが飲みたい。近々、鶯谷に来ることがあったら、必ずまた寄りたいと思いました!
(取材・文◎いしざわりかこ)