約1.2kg! 西浅草の喫茶店『ピーター』のデカ盛りすぎる「カレーライス(大盛)」を実食

約1.2kg! 西浅草の喫茶店『ピーター』のデカ盛りすぎる「カレーライス(大盛)」を実食
食楽web

 文京区や台東区には、開店から何十年も経っているのに、変わらぬ佇まいで客を迎える、昔ながらの喫茶店が多く残っている気がします。朝早くから常連さんがモーニングを注文して新聞を読んでいるような。椅子は低めで深く座るタイプで、コーヒーのミルクは銀色の小さなピッチャーに入っているとか。

 地下鉄銀座線浅草駅から徒歩約10分、つくばエクスプレスの浅草駅なら徒歩3分ほど。合羽橋と浅草のちょうど真ん中あたり? 西浅草の昔ながらの喫茶店に、大盛のカレーがあると聞き、向かったのは『ピーター』。赤い屋根が目印、昭和の雰囲気を残した喫茶店です。

 店に入ると、マダムがにっこりと出迎えてくれます。笑顔で最新浅草情報を話しつつ、メニューを出してくれます。

メニュー。値段が2つあるのは、単品価格とセット価格の意味。Sがセット価格でコーヒー付きになる
メニュー。値段が2つあるのは、単品価格とセット価格の意味。Sがセット価格でコーヒー付きになる

 喫茶店ですが、ドリンクより一番目立つ「カレーライス」の文字。人気のメニューということなんですね。早速「カレーライス(大盛り)」を注文。するとマダムが「うちのカレーはゴハン2合分あるけれど大丈夫かしら?」と聞いてきます。そうそう、その大盛りを食べにきたんですよ~。

 初めてきたお客さん、またはマダムがまだ覚えていないお客さんが大盛を注文した際は、必ず事前に確認するとのこと。「うちは小盛りが普通サイズで、普通が大盛サイズ、大盛りは特大サイズになるでしょ。ゴハンが2合ありますよ、って言うと、じゃぁ普通ので、って言う人もいるのよ」。とマダム。

 喫茶店のカレーって、軽めというか、量が少なめのイメージなので、ある程度のボリュームで食べたかったら、何の気なしに大盛りって言っちゃう人もいるのかも。それでゴハン2合分出てきたら驚くだろうなぁ。

「カレーライス」大盛730円。スープとマダム特製のぬか漬けつき。並べて撮るとスマホがちっさい~!
「カレーライス」大盛730円。スープとマダム特製のぬか漬けつき。並べて撮るとスマホがちっさい~!

 マダムの話を聞きつつ、待つこと10分。いよいよカレーが登場! でかい! 喫茶店のテーブルだからなのか、この店の雰囲気からすると意外すぎるのか。お皿自体もずっしりしていて、中々の迫力です。

「カレーはカツオと昆布から出汁をとってね、国産豚肉とジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの野菜が入っているの。50数年前に、カレーを和風のお出汁で作るところはなかったんじゃないかしら。もぉずっとこの味なんですよ」とマダム。

 早速計測。38×27cmの8角形の器に、高さは約5cm。重さは1201g(器の重さを除く)。計測が済んだところで一口! 最初に程よい辛さが、後から和風出汁ならではのマイルドな旨みが口の中に広がります。初めて食べているのに懐かしいお袋の味のカレー。いや、うちのカレーは和風出汁で作ってなかったけれど。ゴロゴロと存在感を出すニンジンやジャガイモもいい。スイスイ食べてしまいます。

ちょっぴり不揃いなニンジンやジャガイモがまたいい! じんわり優しさを感じるカレー
ちょっぴり不揃いなニンジンやジャガイモがまたいい! じんわり優しさを感じるカレー

 ちなみにこのカレーにはコンソメスープとお漬物が付いてきます。ん? お漬物? 福神漬けじゃなくって? 「福神漬けは残す人が多くてね~。もったいないからやめたのよ。お漬物は自家製のぬか漬けなの。美味しいでしょ?」とにっこり微笑むマダム。この日はきゅうりと大根のお漬物。確かに美味しい。浅すぎず浸かり過ぎず、そして福神漬けほど主張せず。絶妙のバランスです。カレーのトロトロと、漬物のシャキシャキ、サクサク。食感の変化もいい。

「うちのカレーの豚肉は国産なのよ。原価が高くなるけどね、日本の豚の方が美味しいの。海外のは煮込んでいるうちに味が変わってしまうのよ。だからね、うちのカレーは胸焼けがしないって言われているのよ」とマダム。確かに、油の膜や固まりなどはなく脂肪分控えめ。でもその分、出汁のまろやかさや旨みで均整がとれている美味しさです。だからホッとする味わいなのかも。

左東正子マダム。1966(昭和41)年からずっとお店で客をもてなしている。「うちはコーヒーも美味しいのよ」
左東正子マダム。1966(昭和41)年からずっとお店で客をもてなしている。「うちはコーヒーも美味しいのよ」

 カレーの後はやっぱりコーヒーが欲しくなる! ということで、アイスコーヒーを追加で注文。「うちのコーヒーは皇室御用達の豆を使っているのよ」とマダム。昭和12年創業の珈琲店、珠屋小林珈琲は皇室にも献上しているコーヒーの店。ここが作る「ピーターオリジナルブレンド」でコーヒーを出しているとのこと。

 ピザトーストやチーズトーストなどのトースト類は、浅草の老舗ベーカリー「ペリカン」のパンを使用。ということで、次回は朝に来てトースト&コーヒーでゆったりした時間を過ごすか、またはメニューを見た時に気になった、ハヤシライスで大盛りを食べに来るか。また近いうちに来なくては!

店内。一番奥の壁一面に古き良き浅草の芸人や役者の絵が
店内。一番奥の壁一面に古き良き浅草の芸人や役者の絵が

 ちなみに店内の壁には戦前、浅草が一番の繁華街だった頃に活躍した芸人さんや役者さんの絵が。「昔ね、黄金バットの紙芝居の絵を描いた人がね、この絵を描いてくれたのよ」とマダム。田谷力三、大河内伝次郎、嵐寛寿郎など浅草を代表する人々が一面に描かれています。

 観光の中心エリアから少し離れて、落ち着いた雰囲気の西浅草にある、昔の雰囲気を今も残した喫茶店。お客さんが少ない時間には、マダムとの会話も楽しめますよ。

(取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

ピーター 外観

店名:ピーター

住所:東京都台東区西浅草3-13-1
TEL:03-3844-5984
営:10:00~21:00(L.O.20:30)
休:日曜