辛さがクセになる!「辛たまご肉汁うどん(のみ盛)」計1368g

待つこと数分、目の前にやってきたのは、白くてツヤツヤのうどんと、オレンジ色のいい意味でこっちもツヤツヤのつけ汁。まずは計測です。うどんは直径17.5cmの器に高さ約13cm。重さは1006g。つけ汁の方は直径15.5cmの器に重さ362g(共に器の重さは除く)。トータル1368g。うどんのてっぺんにはミミ? きしめんよりちょっと太い綿がクロスしています。
早速一口! うおっ、辛い! 最初に甘さがきたと思ったらいきなり辛さがバーッと広がってきます。ジェットコースターのような展開。でも辛さだけじゃない、しっかりとした旨さも感じる。そして食べ重ねるごとに強くなってくる辛味と旨み。出汁&豚肉などの旨みと、辛さがまとめて口の中を襲ってくる感覚です。

「つけ汁の出汁は煮干しと椎茸をたっぷり使い旨みを引き出しています。辛旨の味の軸は特製の辛味噌。複雑な辛味の中に発酵した旨みが追ってきます」と話すのは店主の奥村哲也さん。実はこの「辛たまご肉汁うどん」、奥村さんが韓国で食べた屋台のカルグクス(韓国式うどん)やチゲうどんがコンセプトになっているとのこと。だからこその旨辛つけ汁なんですね。
そしてもう一つ疑問。ポスターに書かれていた「武蔵野×讃岐HYBRIDうどん」とは?「武蔵野うどんは埼玉や群馬の地粉をブレンドして店内で打つ、まるで挑戦してくる様なゴワゴワとした食感と強いコシが特長です。一方讃岐うどんはうって変わって滑らかな喉越しとモチっとしたグミ系の食感。この両方が味わえるから、武蔵野×讃岐HYBRIDなんですよ」。つまり、武蔵野と讃岐のいいとこ取りのうどん、ということ?
「さまざまなうどん文化の中で、私は讃岐と武蔵野のうどんは双璧だと考えていて、うどん好きとしてはどちらも大好きなんです。特に対極にある麺の食感を一杯のうどんで楽しめる所がハイブリッドの所以です」と店主の奥村さん。

店主の奥村さんは、粉物の料理を得意としていて、以前ナポリピザ専門店を経営していたときにはミシュランのビブグルマンに2年連続掲載されたそうです。でも実は関西出身のうどん好き。食べ歩きの中で関東のうどん文化に触れて、自分なりの今までにない大衆的なうどんを食べてもらいたい、と言う思いからこの店を出したそうです。

そして、この“今までにない”のの一つが、卓上のトッピング。なんと10種もある! 手前にあるガラスの小瓶は左からバジル生姜、腐乳、自家製スタミナラー油。そのほか、スパイス魚粉、黒コショウ豆チ(チは豆へんに支/以下同じ)、すりごま、油七味、煮干し酢、つゆ、四角いケースに入っているのは生タマネギ。味変アイテムが多いラーメン店でも見たことのないものが色々。豆チとか腐乳とか、今まで卓上で見たことない!「池袋は中国の方が多いので、中国の方にも愛されるように置いているんですよ」と店主。
ちなみにおすすめは、タマネギ&自家製スタミナラー油。八王子ラーメン的な味わいに変化するので、たっぷり入れて美味しく食べてほしいとのことです。

ちなみにこの日の「季節の天ぷら」はじゃがいもとナス。つけ汁の方には素揚げのナスが入っているので、天ぷらとの違いも楽しめます。この野菜天ぷら、つけ汁の旨辛によく合う! 旨辛のつけ汁でメリハリの効いた美味しさです。じゃがいもは冷めてもサクサク。味変用のタマネギのシャキシャキもそうだけれど、食感の違いってやっぱりいい! 食べ進めるのが楽しくなります。
中盤を過ぎたところで、味変アイテムを少しずつ試してみます。バジル生姜は一気に爽やかな味わいに、そして煮干し酢は酸辣湯麺みたい? よりスッキリする味に進化。もちろん、もっと辛くしたいなら、ニンニクがっつりの自家製スタミナラー油。さらなる刺激がやってきます。スパイス魚粉は旨さがぐわっと増える感覚。もちろんスパイスもですが。なんかもぉ、変化と進化がすごい。

「うどんは手軽に食べられるが故に、飽きるという問題があり、それを解決したい、飽きさせないで毎日お腹いっぱいうどんを楽しんでほしいという思いから、段々と増えていき味変アイテムが10種類になりました。まだこれからも増えるかも知れません」と笑顔で話す店主。
開店してまだそんなに経っていないけれど、お店に食べにくるお客さんはリピーターが多く、若い女性、年配者、そして店主の狙い通り中国の人もよく食べにきてくれるとのこと。毎日食べても飽きないようにする作戦、大成功のようです。
うどんを食べ終わった後は、蕎麦湯ならぬ「うどん湯」を入れて、最後の一滴まで味わえる『肉汁うどん 奥村。』。ちなみにつけ汁の具は豚肉から鶏肉に変えることも可能。また、味変アイテムの他に、生卵60円、味玉120円、三陸産わかめ120円、肉増し増し200円など、具をもっとゴージャスにすることも可能です。
一度食べたらどハマりする、パンチの効いたつけ汁に、程よいコシともちプリ感のうどん。そして多彩な味変アイテム。これ、小盛や並盛だと色々試せないまま食べきっちゃう気がする。もし胃袋が許すなら、大盛以上で注文して、様々な味でうどんの新しい美味しさを見つけるのがおすすめですよ!
(取材・文◎いしざわりかこ)