名古屋各地にある『味仙』は店ごとに味が違う?

訪れたのは名古屋駅から徒歩10分ほどの場所にある『味仙 名古屋駅店』です。筆者は勝手にラーメン専門店をイメージしていたのですが、訪れてみるとガチの台湾料理店でした。メニューも、台湾酢豚、手羽先煮込み、豚足など一品料理が豊富で、昼間からお客さんたちがビールを飲みながらさまざまなお料理をつまんでいます。

なるほど、友人が「味仙は台湾料理を食べるのがメイン」と言っていた理由がわかった気がします。となれば、最初はビールです。友人のオススメという「こぶくろ辛し和え」(770円)や「手羽先煮込み」(495円)、「ちょうづめ」(935円)をアテに、まずは乾杯!

いざ食べてみると、このつまみたちがめちゃくちゃ美味しいんです! プリプリのコブクロにたっぷりのネギ、和えダレが程よく辛くて苦みがあり、甘みもある。「ちょうづめ」も、ちょっと不細工な手作り感がアリアリで、噛むたびに肉の旨みが広がります。しかも添えられた白髪ねぎやスライスにんにくがまた優秀。一緒に口に運べば、無限に食べられそうなほど旨さが倍加します。

美味しい一品料理を味わっていると、友人が「にんにくチャーハン」(770円)を追加しました。「大丈夫? 〆に台湾ラーメン食べるのを忘れてない?」と言うと、「ここのニンニクチャーハンはニンニクがガッツリ効いてて、これもビールに合うつまみなのよ。周りを見てみて」と返されました。そう言われてほかの席を見回してみると、確かに多くのお客さんがこのチャーハンを食べていました。なるほど!

実際に食べてみると、確かにこの「ニンニクチャーハン」、かなり味が濃くてパンチがあり、ビールやお酒によく合います。米粒が油でしっかりコーティングされていてパラッパラ。これはお酒と一緒に食べるために作り出されたチャーハンなのかもしれない、とすら思いました。
というわけで、たくさん寄り道してきましたが、いざ肝心の「台湾ラーメン」をオーダーします。メニューを見ると3種類ありました。
・「台湾ラーメン」(唐辛子マーク4)
・「台湾ラーメン・アメリカン」(唐辛子マーク1)
・「台湾ラーメン・イタリアン」(唐辛子マーク6)
辛さのレベルで名前が違うようですが、アメリカンやイタリアンなんて、まるでコーヒーのようですね。今回は初体験なので、基本の「台湾ラーメン」を注文。登場したのがこちらです。

一般的なラーメンの丼よりやや小ぶりなので、お酒の〆にぴったりな量です。丼の表面には、台湾ミンチと唐辛子、ネギがびっしり浮かんでいて、いかにも辛そうです…! まずはスープをひと口飲んでみると、思わずブハッとむせそうになりました。唐辛子の香りが鼻を直撃してきて、期待を裏切らないハードな辛さ!
でも辛さの後から、ニンニクの香りと味が追いかけてきて、鶏がらスープの旨みもしっかり感じられる滋味深い味わい。くどさは微塵もなく、あくまでスッキリしていて、スープを適度に絡め取る麺のなめらかさも抜群で、みるみるうちに麺がなくなっていきます。

丼の底に沈んだ台湾ミンチをレンゲで追いかけながら、ミンチ1粒、スープ1滴も残さず完食。思わず「おかわり!」と言いたくなるほど美味しかったです。東京に帰ったら、神田にある『郭 政良 味仙 東京神田西口店』に絶対に行ってみよう! と心に誓ったのですが、ここで友人から気になる言葉が。
「味仙は名古屋市内だけでもたくさんあって、いろんな店を食べ歩いたけど、同じ台湾ラーメンという名前でも味が違うんだよね。背脂いっぱいのところもあれば、スープの濃さもニンニクの強さも違うし。だから味仙のラーメンは、人それぞれ好きなお店があるみたいよ」とのこと。
え、どういうこと? と思って後で調べてみたら、どうやら創業者兄弟で別に経営しており、さらにグループとして支店も出しているそうで、それぞれけっこう味の特徴が異なるんだそうです。
こうなると俄然、いろんな味仙を食べ歩いてみたくなります。常連の人にインタビューして、お気に入りの支店の味の特徴を教えてほしいくらい。というわけで、『味仙 名古屋駅店』は台湾ラーメンだけでなく、一品料理もかなり美味しいことが判明。次回は、『味仙』巡りを目的に改めて名古屋に行ってみたいと思います。
(撮影・文◎土原亜子)