獣系、野菜系と合わせて魚介の香ばしさが口の中に広がる絶品スープ

店内に入り、小さな券売機で「醤油ラーメン」(500円)のチケットを購入。メニューは「醤油ラーメン」「塩ラーメン」「ご飯」「大盛り券」のみのシンプルな構成。個人的に「メニューが少ない店は旨い」と信じており、自ずと期待感が膨らみます。カウンターで店主にチケットを渡し待つこと数分。500円の「醤油ラーメン」が筆者の元にサーブされました。見るからに旨そう!

まずスープをすすってみると、獣系+野菜系の出汁のインパクトを感じつつ、程よくオイリーで北の街・札幌のラーメンであることを強く感じました。一方、すすった後半では魚介の香ばしさを感じ、Wスープであることがすぐにわかります。

また、この旨いスープにウェーブのかかったコシのある細麺がよくマッチしており、少なくとても東京では味わうことができない絶品の味わいを表現しています。

具は肩ロースの焼き豚が2切、メンマ、ネギと一般的なラーメンとなんら変わらない一方、具の一品一品も実に旨く、どうしてこのハイレベルで旨いラーメンがわずか500円で提供できるのか、原価率とかどうなっているのかと、不思議に思うほどでした。
旭川ラーメンの名店を流行らせた店主の父が、実現したがっていた念願のワンコインラーメン

食べ終わった後、『昭和ラーメン ふくや』店主の福屋昌紀さんに、この「500円ラーメン」の秘密について聞いてみました。なんでもこの店のルーツは、札幌市内でも有名な『ななし』という旭川ラーメンにあるそうです。
「当初、うちの親父が札幌市内で旭川ラーメンの店『ななし』をオープンさせました。全国のスーパーでチルド麺が販売されるほど有名になりましたが、親父は昔からの夢として『ワンコインで出すラーメン屋をやりたい』と言っており、それを10年ほど前に実現したのがこの店です。ラーメンは昔は安く食べられるものでしたが、千円近いものが多くなりました。昔のように誰でも気軽に食べていただけるようなお店にしたいと開店しました。
ベースはやはり旭川ラーメンで、特に麺は旭川ラーメンに使われる低加水麺にしています。なので、いわゆる札幌ラーメンとは違うとは思いますが、美味しくいただけると思います」(『昭和ラーメン ふくや』福屋昌紀さん)
筆者がいただいている際も店内にいるスタッフと福屋さんとが念入りにスープのアクを取るなどの作業をしているのが目に入りました。つまり、たった500円と言っても味には相当なこだわりがあり、これだけの味を実現しているというわけです。

「そこは本当に念入りにこまめにやっています。しかし、この値段で出していますので、イレギュラーのトッピングを付けるなどの手間のかかることはなるべくせず、単品の『醤油ラーメン』『塩ラーメン』『ご飯』だけでやっています。
お店がある界隈は繁華街ではないためメインのお客さんは地元の方々です。ありがたいことにリピートしていただいて、お店を営業することができています。中には『醤油ラーメン』『塩ラーメン』を2ついっぺんに食べて行かれる方もいらっしゃいます。このように気軽に食べていただけるのは、当店ならではと思います。お近くにおいでの方は是非お立ち寄りいただければありがたいです」(『昭和ラーメン ふくや』福屋昌紀さん)

お店の努力や味の良さを声高に語らない福屋さんでしたが、その控えめさから、かえって一杯の500円ラーメンにかける真摯な思いが伝わってくるようでした。福屋さんのお父さんの思いと愛がいっぱい詰まった『昭和ラーメン ふくや』の500円ラーメン、是非一度食べてみてください!
(撮影・文◎松田義人)
●SHOP INFO
店名:昭和ラーメン ふくや
住:北海道札幌市西区二十四軒3条4丁目2-2
TEL:非公開
営:11:00~21:00(※スープが無くなり次第終了)
休:水曜