肉の美味しさは素材にあるとよく言われるが、もちろんそれだけではない。なんといっても重要なのは焼き方である。そこで、昔ながらの製法の“熾火(おきび)焼き”が自慢のイタリアンで肉汁の旨さをガッツリ味わってきた!

肉の醍醐味といえば、かぶりついた時の、肉のむっちりとした弾力と柔らかさ、そして、したたる肉汁。しかもその肉汁は、脂と水分の絶妙なバランスがあってこそ“真の旨み”というものだ。
と、理想を胸にやってきたのは、恵比寿のイタリアン『ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア』。少々、長い店名なので、勝手ながら愛称をつけて「ブラデ」と呼ばせていただく。
まず、つべこべ言う前に、「熾火(おきび)焼き」で焼いた肉を食べた率直な感想を言っておこう。
噛めば肉の周りはカリっと、中はジュワ~っと。ここまでの食感はたまに経験するが、ここからが、「熾火焼きは」ちょっと違う。肉汁が舌を覆いはじめると、まるで樹木を燻したようなスモーキーな“深イイ香り”が立ち込め、さらに肉から脂味と甘味がじわりじわりとにじみ出てくる。使用している肉本来の真の旨みを引き出している。これぞ“肉汁の王様”だ。思わずつい声が漏れる。「うまっ」!
実はこのお店『デリツィオーゾ イタリア』という名前で2000年にオープンし、恵比寿の街に初めてピッツァの薪釜(まきがま)を導入した店。今では、ピッツァ屋と言えば、「薪釜じゃなきゃ焼きがね……」なんて猫も杓子も言うけれど、17年も前から、ピッツァの旨さは“薪火”にあり、とコンセプトをしっかり掲げていた。
そして、今回も “肉の旨さは熾火(おきび)にあり”と、火にこだわり、この10月に「熾火焼き専門店」としてリニューアル。名前も新しくなったというわけだ。

ちなみに「熾火焼き」とは、昔ながらの食材を焼く製法で、様々な香りのする木材を使った炭火で、静かにメラメラと燃える赤い火をつかって、ゆっくりじっくりと焼くこと。それにより、食材の内部に持つ水分や脂分といった旨みを逃さず、閉じ込めることができる。なるほど、だから、肉本来の旨みを逃さずしっかり引き出すことができるんだと、改めて感動。