ありそうでどこにもない魅惑の「和風スパ」

待つことしばし。和風パスタが登場しました。細く切り刻んだ沢山の大葉の下には、刻んだ海苔がたっぷり。両者の爽やかな香りが立ち込めます。その大葉と海苔をフォークでかき分けると、下にはかなり細めのスパゲティが姿を現しました。これパスタか? と思うほどの細さ。ちなみに具材は椎茸、ピーマン、ソーセージのようです。

食べてみると、醤油やバターをまとった香ばしい味が広がり、大葉と海苔のむせ返るような芳香が追いかけてきます。これはウマい! 強い火力でしっかり炒めているのでしょう。ところどころにスパゲティのカリッとした食感が残っており、この炒め具合がめちゃくちゃイイんです。
噛めば噛むほど風味が立ち、旨みがじんわりと広がります。思わず「ウマっ」と声が出てしまうくらい。イタリア人に怒られるかもしれませんが、もうアルデンテとか言ってる場合じゃありません。焼きそばならぬ、“焼きパスタ”といった雰囲気で、実に美味。

たっぷりの大葉と海苔、そして醤油とバターで炒めた細めスパゲティ。味といい、炒め具合といい、具材の組み合わせといい、ありそうでない逸品。どこかレトロで懐かしさも漂わせつつ、でもよく考えると食べたことがない…。そんなスパゲティなのです。これはすごい!

かなりボリュームのある一皿でしたが、あっという間に完食。なのに後味は軽く、胃もたれ感もなし。これは確かに食のプロが足を運ぶのもわかる気がしました。
食後にコーヒーを飲みながら周りを眺めていると、ナポリタンや海鮮系のスパゲティなどを楽しんでいる常連さんも多く、どれもこれも食べてみたくなります。多分どれも絶対に美味しいはず。再来を誓い、大満足で店を後にしました。
(撮影・文◎土原亜子)