背脂たっぷりなのにあっさりした極旨ラーメンとは?

『中華そば きび』は、駅から徒歩2分の場所にありました。「あそこです」とS君が教えてくれるまでもなく、店前に行列ができていたので、ひと目でわかりました。彼らによれば、ラーメン屋さんが多い明大前駅周辺にあって、この店はいつも行列ができているとのこと。
彼らと並んでいる間にオススメのメニューを聞いてみると、「中華そばとつけそばがありますが、僕らがいつも食べるのは “こってり中華そば”です。背脂たっぷりなんですが、これが全然くどくなくて、すっきり&さっぱり食べられるんです」とR君。

店前のメニュー写真を見ると、「こってり中華そば」は、たしかに背脂がびっしり。これが本当にさっぱり食べられるのか? メニュー名すら“こってり”を名乗っているぞ…などと疑念がわきますが、百聞は一食にしかず。筆者もそれを注文することにしました。

登場した「こってり中華そば」は、たしかにスープの表面に白い背脂が浮いていて麺が見えないくらい。中央に「の」の字のナルトやネギ、チャーシューが鎮座し、背脂はもはやスープに描かれた美しい模様のようにも見えます。

背脂をかき分けて箸で麺をすくうと、実は下のスープは透明。塩味の鶏ガラベースのスープなんですね。なるほど、これがこってりなのにスッキリの正体ですか。

彼らが言うように、背脂たっぷりなのに脂っぽさや臭みは微塵もありません。しかもスープの塩味と旨みのゾーンがピタッとはまっていて、コクがあり、軽くてさっぱりしています。これはすごい!
どうやらこの背脂、ちぢれ麺にスープをよく絡ませるためのとろみ出しと、コク・甘味を出す役割を担っているようです。なのに脂っこさはなし。かなり質の高い背脂とみました。

そして、分厚いチャーシューが2切れ。チャーシュー好きの筆者は、最近よくある低温調理タイプより、こういう煮込み系が好きです。柔らかくて口中でホロホロと崩れ、脂身の食感も楽しめる、理想的なタイプです。
そして学生たちが「辛いのが好きならぜひ」と、味変におすすめしてくれたのが卓上にある唐辛子ベースの自家製調味料。これを少しスープに入れると、一気に真っ赤に染まりました。

かなり辛くなりましたが、唐辛子由来の旨みが広がり、一滴も残したくないほど美味しい! 息をつく暇もなく両手で丼を持って飲み干してフィニッシュ。というわけで、明大生の2人に教えてもらった『中華そば きび』の「こってり中華そば」は、確かにこってりなのにさっぱり食べられて、かなり絶品でした。
(撮影・文◎土原亜子)