衣はせんべいのみ。醤油味からは米の風味も

まずは「せんから」をいただきます。1個が40~50gほどもあるでしょうか。衣は砕いたせんべいと、砕くときにできた米粉のみ。“衣=100%せんべい”ということですね。ビジュアルは一般的なからあげとは異なり、かなりクリスピー感があります。細かく砕いたせんべいの破片がランダムな大きさで肉を覆っています。
さっそくひと噛み。当然、せんべいのガリッとした食感があります。その中からは、香ばしい風味も。歯ざわりは“ソフトな歌舞伎揚げ”といった印象です。ガリザク食感の衣の下には、醤油味のやわらかい鶏肉。この外と中のギャップが最高。食べていくうちに固かった衣が徐々に溶けるようにやわらかくなっていきます。

衣に使用しているせんべいは醤油を塗って炭火で手焼きしています。そのせいか、からあげの味は、米の風味を感じる醤油味×肉のうま味を感じる醤油味が入り混じっているよう。味に奥行きがありますね。まさに味のハイブリッド。
肉の旨さは言うに及ばず、衣のガリザク食感もいい。せんべいをランダムに砕いているからでしょう。発売当初はもっと粗めに砕いていたそうで、大きめの破片が肉を覆っていたようですが「お客様の中には、口の中が痛くなるとおっしゃる方もいたんです」とオーナーの橋口賢人さん。そこから試行錯誤を重ねて、今の状態になったのだといいます。
1枚のせんべいと一緒に揚げた「超せんから」もオススメ

またこちらでは、1枚のせんべいと「せんから」を一緒に揚げた「超せんから」もオススメ。せんべいのように手に持ってかぶりつくことができ、より“せんべい感”があります。食べ歩きにもいいかもしれません。
さて、持ち帰り用に「せんから」を少し購入したのですが、「冷めてから食べてみると、衣が“ぬれせん”のようになって美味しいですよ」と橋口さん。その言葉通りに、冷めてから食べてみました。確かに衣がしっとりとして、店頭で揚げたてをいただいたときとは異なる食感に変化しています。気のせいでしょうか、肉のうま味が強くなっているようにも感じます。たしかに美味しい!
お店の周辺には、この「せんから」を買ってその場で食べるお客さんもけっこういましたが、持ち帰って食べるのもアリ! ご飯に合わせてもいいかも…と思いましたが、よくよく考えてみればせんべいは米で作ったもの。ごはんと一緒に食べているようなものなのかもしれませんね。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。