野菜たっぷり石鍋キーマの実力やいかに?

『虹色CURRY食堂』のカレーは大きく分けて、(1)石鍋キーマカレー、(2)バターチキンレッグカレー、(3)牛すじスパイスカレーの3カテゴリー。それぞれにトッピングがついたカレーがあって、全部で7種類あります。
店員の方がお客さんにメニューの説明を丁寧にしてくれます。まとめると下のようになります。
1.石鍋キーマカレーは、石鍋なので最後まで熱々で食べられる野菜たっぷりのキーマカレー。トッピングにチーズを入れるのがオススメ。
2.バターチキンカレーは、生クリームとバターを使った甘めのチキンカレー。チキンレッグが1本入っていてボリューミー。トッピングに野菜をプラスすると野菜の1日の必要量(厚労省推奨)が摂取できる。
3.牛すじカレーは、トロトロの牛すじがたくさん入っていて、コラーゲンたっぷり。スパイシーなのでオムレツをのっけて食べると程よくマイルドになる。
これを聞いて迷いましたが、筆者は石鍋でカレーを食べた経験がないので「石鍋キーマチーズカレー」(1150円)にしました。

登場したのは、まさに熱々の石鍋。鍋の中は、カレーが見えないくらいキャベツやパクチーなどの野菜がワサッとのっています。スプーンですくうと、キーマカレーとチーズが絡まったルーとライスが出てきます。

「全体をよく混ぜてお召し上がりください」という店員さんのアドバイスを、いったん無視してそのままスプーンを口に入れると、さすがにアッツアツ。時間差で、キーマのスパイシー感と、まろやかなチーズの味が追いかけてきます。しかし、ここでおそらく筆者だけでなく誰もが「??」となると思います。確かにカレー味なのですが、メキシコ料理のような味もするのです。「何かに似ている。これはなんだっけ?」と。
混ぜて食べると、その理由が判明しました。サルサソースが入っていて、沖縄のタコライスのように感じるのです。本来、タコライスは、牛ひき肉にタコミート・スパイスで味付けし、レタス、トマト、チーズとともに食べるものですが、これは、キーマカレーに変え、シャキシャキのキャベツ、パクチー、そしてチーズで食べます。特に石鍋の熱によって甘みが増したキャベツと、チーズとキーマカレーの味わいは、非常に親しみやすい印象です。

鍋の側面に目をやると湯気が立っているので、石焼ビビンバのごとく、ご飯をスプーンで壁に押し付けてみました。するとジューッと音を立てておこげができます。チーズとカレーの焼ける香ばしい香り! 濃厚な旨み! パクチーの爽やかさ! 素晴らしいハーモニーです。これは、まさに「キーマカレー×タコライス×石焼きビビンバ」のいいとこ取りをした新スタイルと言っても過言ではないでしょう。

早速、このメニューを作ったお店の代表・松野倫さんにお話を伺うと、意外なことがわかりました。実は、このお店の前身は、『レインボーキッチン下北沢』というダイニングバー。9年続いたのち、お店をカレー専門店にリニューアルさせたのだそうです。
「前の店で一番人気のメニューが、オリジナルの石鍋タコライスでした。今回、カレー専門店としてリニューアルしましたが、そのスタイルを残すべく、ひき肉部分をキーマカレーにして出すことにしたんです」と松野さん。

「実は、うちは下北沢や三軒茶屋にスープカレーやバル系ダイニングの姉妹店が計8店舗あり、バルでは、和牛ステーキやハラミステーキなどを出しているんです。その関係で、お肉がたっぷりついた牛スジがたくさん手に入る。それを使ってお店で牛スジカレーを出していたところ、これが評判になり、下北沢恒例のカレーフェスに出品すると大人気なりました。そこで、専門店を出そうと決めたんです」
美味しさの秘訣を聞くと、実は良質な肉だけではなく、無添加の野菜を使用し、水を1滴も使わずに作るカレーソースにあるそう。また、こだわりのスパイス使いには、スープカレーで培ったノウハウが生きているとのこと。
開店早々、お客さんがたくさんいた理由は、すでにここのカレーの美味しさを十分に知っていたからなのですね。「石鍋チーズキーマカレー」のおこげには、かなりハマります。皆さんも、シモキタに遊びに行ったら、ぜひ食べに行ってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:虹色CURRY食堂
住:東京都世田谷区北沢2-31-9 2F
TEL:03-5454-0174
営:12:00~23:00
休:無休