いざ激辛カレーを実食! その辛さやいかに?

お店は、近鉄奈良駅から徒歩7分。店先には、「当店は南インド地方の非常に辛い料理を提供しております」との宣戦布告ともとれる貼り紙。さらに、カウンターに通されると、卓上には「タリカロ極意」なる案内が書かれていました。
・その一 水を飲んだら、水地獄
・その二 辛い時、先にまぜるは、ヨーグルト。卵は最終兵器なり
・その三 ライスはくずして食すべし!
ここまで“激辛宣言”をされると、むしろ闘志がわいてきます。同行した友人とともに注文したのは、「夜のタリカロカリープレート」(1850円)。パレットのような色合いで見目麗しい見た目ですが、この美しさに、とんでもない激辛要素が含まれているのです。

プレート登場とともに、1枚の紙が渡され、そこには食べ方指南が書かれていました。「カレーの器をプレートから外に出し、チキンは温かいうちにほぐして、ライスを軽くまぜる」。さらにカレー4種類は、右から左へとマイルドから辛口へと並んでいます。そこで「ダ─ル⇒エビ⇒キーマ⇒チキンの順で味見」をした後で、「ライスにカレーを大胆にかけ、ヨーグルトやポリカル、アチャールも混ぜて食べる。全部混ぜて食べると美味しいです」とのこと。

その指南書をざっと読んだ友人は、「どうせ全部混ぜて食べれば美味しいんでしょ」と、大胆にもライスにカレーをドバドバとかけていました。しかし筆者は、最後の一文まで読んで危険を察知。すべてを一気に混ぜるのはやめました。なぜなら、「※ご注意 チキンとキーマはたくさん混ぜると辛くなる」と書いてあったからです。

というわけで、筆者は、マイルドな豆のカレーから順番に味見した後に、それぞれを少しずつだけ、ライスにかける作戦にしました。
まろやかな豆のスープはさほど辛くなく、優しい味です。エビのカレーは魚介の出汁が濃厚に感じられ、ちょい辛。キーマカレーは、カルダモンの味が効いており、若干、舌がヒリつきますが、肉のコクもしっかり感じられて非常に美味です。
しかし、チキンカレーは、他の味を忘れるほどの激辛! 口に運んだ瞬間、舌が「ひえっ」と拒絶するかのようにビリビリします。そこで、すぐさま豆カレーに戻ります。すると、逆にチキンカレーの旨味がよりくっきりと感じられるのです。そうやって少しずつ積み重ねて食べると、インパクトの強いチキンカレーと骨付きチキンで、激辛度はぐんぐん上昇! さらに、ヨーグルトや甘酸っぱいアチャールで、味を加減。ヒーハーしながら食べましたが、辛さとマイルドさを共存させることで、きちんと旨味も感じられました。

隣では、カレーを全部かけてしまった友人が、滝のような汗を流しながら辛さにのたうち回っていましたが、筆者は、辛さと旨味の味のバランスをほどよく感じつつ、完食できました。しかし「なぜ、こんなに辛くしたんだろうか?」と疑問が浮かび、店を経営する對馬啓太郎さん・里香さんご夫妻にお話を聞いてみました。
「二人して、もともと辛い物好きで、とくに好きなタイプが南インド料理だったんです。ただ、自分たちが理想とする辛さの店がない。それなら自分たちで店を作ろう、ということで、二人でスパイスと料理を研究したんです」と里香さん。
店をオープンしたのは10年前の2010年。食材の美味しさをきちんと感じられ、それでいてスパイスは最小限に、ギリギリまで辛くするというのが理想の味だそうです。それからは、10年間ずっと同じスタイルでやっているそうです。
「とくにチキンカレーはかなり辛いと思うのですが、この味がクセになると言ってくれる人もいます。また、同じスタイルで提供していても、混ぜ具合で味わいが変わるので、週に何回も通ってくれる常連さんもいます。私たちの辛さを、受け入れて楽しんでくれるのはとてもうれしいですね」(里香さん)
現在の古民家に移転してから6年。風情ある空間でいただく超激辛カレーは、奈良ののんびりした空気にピリッと刺激を与えてくれて、旅の思い出になること請け合いです。みなさんも、ぜひ一度、古都での激辛カレー体験をしてみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:タリカロ
住:奈良県奈良市椿井町30-3
営:ランチ11:30~14:30(13:50LO)、ディナー18:00~20:30(20:00LO)
金・土18:00~21:00(20:30LO)
休:木(臨時休もあるので、事前に確認を)
※売り切れ次第終了