
“朝絞めの鶏”を料理に使うお店が増えています。鶏を絞めると死後硬直が始まり、それが解けるのが約12時間後と言われます。このタイミングの鶏肉はアミノ酸も豊富でうま味が強いのだそう。当然、冷凍することなく調理されるため、うま味が凝縮されたものを味わえます。

今回お邪魔した『神楽坂 からり』はそんな朝絞めの鶏を使ったからあげを味わえるお店。こちらの名物「朝〆鶏 ひな鳥もものから揚げ一本」(580円)をいただきました。
ジューシーなもも肉を骨付きで楽しめるこのからあげ、衣をつけない素揚げです。味付けは塩のみ。これが朝絞めのうま味を十分に引き出してくれます。余分な水分も抜け、朝絞め鶏の美味しさを堪能できます。バリッ! という食感の皮を破るとプルンプルンの肉が。肉汁がとにかくすごい。たっぷりと蓄えられたうま味とともに、かすかな甘みも。骨に付いた肉は肉汁と一緒にホロホロとはがれて、舌の上でとろけるようです。

もうひと品は「から揚げ やみつきだれ」(560円)。もも肉のからあげに秘伝の“やみつきだれ”をかけ、そこにスパイスと胡麻をまぶしたものです。からあげは醤油ベースの味つけですがあっさりめ。実はこのあっさり味がミソです。
かけられたやみつきだれは甘辛系で、からあげの醤油味とのバランスが見事。どちらも軽めの味なので、やみつきだれ、漬けダレ、肉のうま味、3つの味を楽しめます。衣はカリカリ系ですが、やみつきだれが軽くかかっているので、しっとりとした食感も加わります。こちらも肉汁たっぷり。肉のすき間を肉汁が、岩清水のように流れてくるではありませんか! そんな食欲をそそるビジュアルとスパイスに刺激されて一気に完食してしまいました。

ちなみに、『からり』のメイン料理は焼き鳥です。しかも希少部位の焼き鳥メニューがズラリと揃っているので、こちらもぜひ味わってみてください。それにしても、さすが鶏料理店、鶏肉の扱いを熟知しているだけあって、からあげも絶品でした。
●SHOP INFO

店名:神楽坂 からり
住:東京都新宿区矢来町112-6 神楽坂RMビル 1F
TEL:03-5579-2803
営:月~木&土・祝17:00~23:30(L.O.21:30)
金・祝前日17:00~翌4:00
日14:00~23:30
休:無休
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。