いざ、夜のコースを堪能

ボスと再訪したのは夜。「おまかせコース」をお願いすると、長い紙のお品書きをいただきました。全37品目が載っていて、つまみと握りがほぼ交互に出てくる贅沢な構成です。よく見るとネタの温度とシャリの温度が記載されています。ネタばかりか、まさか温度にまでこだわっているとは!

福塚さんに聞くと、「鮨は、シャリに生の魚を載せて握るというだけの料理のようですが、突き詰めると温度にもこだわることが必要になってくる」と言うのです。
「例えばマグロとカツオの脂が溶け出す温度は違います。そして、それぞれ旨みと香りが出てくる一番の温度というのがあるんです。こういうことを計算して、最終的にお客様が口に入れ味わっていただいた時に一番美味しくなる、という状態で出したいんです」

温度だけでなく、ネタごとにシャリを変え、酢の配合や塩も3~4種類を使い分けているそうです。「やりすぎですよね」と笑う福塚さんですが、ここまでこだわる理由は何でしょう?
「毎日築地に通っていると、美味しい魚は、美味しいとわかる。美味しく作ろうとする者にだけ本当に美味しい魚を売るという緊張感が漂います。だから私も真剣勝負。そこで最高の魚をいただいているので、私も、自分が今持つ最高の技術で鮨を出したい」と言っていました。
仕込みはもちろん、コースを食べている間にも、福塚さんは先の先まで読んで、ネタの状態を見計らっているようでした。その絶品の握りを幾つかご紹介します。




この夜を境に、ボスはこちらの店の予約を取るようにとの指示が増えました。空間、もてなし、そして味、すべてがお気に入りのようです。
先日も「ふくづかで、こないだ“リンゴのガリ”が出てきた! 一品一品出てくるたび盛り上がり、話のネタが尽きない」と心底ご満悦のようでした。ちょっとお高いと思うかもしれませんが、それ以上の満足感があります。ぜひ「ふくづか」さんを体験してみて欲しいと思います!
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:すし ふくづか
住:東京都新宿区津久戸町3-5 2F
TEL:03-5579-2860(予約は前日の16時まで)
営:12:00~14:00(13:30LO)、17:30~23:30(最終入店21:30)
休:月
http://sushi-fukuzuka.com
※事前予約をすれば、お好みに合わせたコースを用意してくれるとのこと。
●プロフィール
桃井叶恵(モモイ・カナエ)
秘書。アラサー独身。タイ・バンコク生まれ。スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、タイ語を話せる。だが、やや日本語が苦手。国内外問わず1人旅が好き。特に、海外旅行では中心部から離れた田舎の店や屋台などの名もない店の美味しい地元飯を見つけるのが好き。