変わらぬ味で愛され続ける隠れた名店『グリルABC』

『グリルABC』は1950年(昭和25年)創業の大衆洋食店。2階建てのこじんまりした店内に足を踏み入れると、ゆったりとした時間の流れを感じます。お昼のニュースが流れるテレビ、古い冷蔵庫、壁に貼られた手作り感満載のメニューにレジ横の黒電話。昭和の空気をそのまま閉じ込めたような雰囲気です。
1階のテーブルでは常連らしき男性たちがテレビを眺めながら静かに食事中。2階からは、知り合いにすすめられて来た大学生くらいのグループと、欧米人カップルが降りてきました。海外からのお客さんも多いんですか? と店員さんに聞いてみると、「そんなことないですよ。あの人たちはスペインから来たって言ってたけど、どこで知ってくれたんやろう……」と、戸惑いながらもちょっと嬉しそう。
知り合いの紹介で訪れる若者に、遠くスペインからやってきた観光客。口コミやSNSを通じて、老舗の味がじわじわと広がっているようです。

メニューを見てみるとハンバーグやエビフライ、ミンチカツといった王道の洋食に加え、なぜかチャーシューメンや八宝菜などの中華料理も並んでいます。同店が愛される理由の一つが、洋食と中華を同時に楽しめることなのだそう。せっかくならと、人気の組み合わせである「オムライス」と「中華そば」を注文してみました。