情報誌と茶葉で“観て飲める”お茶のサブスク「TOKYO TEA JOURNAL」

――お茶とレシピ付きの冊子がセットになった定期便「TOKYO TEA JOURNAL」も人気ですが、いつスタートしたのでしょうか?
古川さん:5年ほど前になります。普段、どうしても好みで選ぶお茶が偏りがちになったり、一度買うと多すぎてなかなか飲みきれなかったりしますよね。定期便では、3回ほど違う飲み方ができる量が3種類入っているので、始めやすいという方が多いです。
――セレクトされているお茶はもちろん、フルカラーの冊子の内容も充実していますよね。
古川さん:冊子も弊社で作成していまして、「お茶の知識が深まる」とみなさまからご好評をいただいています。現在、後継者がいないために衰退している農家さんがあったり、お茶の価格が低いために経営が厳しかったりと、さまざまな問題が生じています。しかし、お茶は本当に手間暇がかかった価値あるもの。お茶のおいしさを伝えるとともに、農家さんには適正な価格を設定するべきだと考え、お茶文化の普及に取り組んでいます。

――お茶とのペアリングが楽しめるお茶菓子も出されていますね。
古川さん:お茶菓子といっても和菓子ではなく、海外の方にも手に取っていただきやすいようにナッツ類のお茶菓子を3種類出しています。ホームページでは和菓子も含めたお茶に合うスイーツを、さまざまな方々からご紹介いただいています。
1回分の茶葉で、異なる味わいの三煎が楽しめる!

――『煎茶堂東京』で提案している日本茶の淹れ方は?
古川さん:「茶葉4gに対して120mlの急須で三煎楽しめます」とご提案しています。紅茶やコーヒーは一度お湯を注ぐとそれで終わりですが、日本茶は温度によって味が変わるという楽しさを知っていただきたいので、一煎目と二煎目は、あえて温度を変えて淹れています。

古川さん:お茶は熱めに入れると苦みの成分が一気に出てしまい、温度を低くすると甘みや旨味を感じられるので、一煎目のお湯は低温(70℃)、二煎目は少し温度を上げます(80℃)。こうすることで、同じ茶葉でも違うおいしさが味わえるんですよ。
――低温で淹れると本当に甘い!色も香りも味わいも一煎目と二煎目では全く変わって、まるで別のお茶を飲んでいるようです。

古川さん:そして三煎目は玄米をのせて、玄米茶にすることもできます。玄米は熊本県益城の「にこまる」というお米をローストしたものです。
――玄米を後のせすると香ばしさが加わって、三煎目もとてもおいしい!
古川さん:こうすれば、自分が好きなお茶でオリジナルの玄米茶も作れるんです。低温で甘みと旨味を、温度を上げて少し苦みを、玄米を加えて味の変化を……と、同じ4gで3回楽しめる。これが日本茶の魅力ですよね。
知るほどに深まる日本茶の世界を楽しんで

――銀座店にはどういった方がいらっしゃいますか?
古川さん:お茶がお好きな方はもちろん、銀座という場所柄もあり、海外からのお客さまもとても多いです。日本茶に詳しい海外の方もいらっしゃって、日本茶が世界に広がっていることを実感します。あと、ラーメンを食べた帰りに立ち寄ってみた、という方も (笑)。こちらでお客さま同士の会話が弾んで、そのままランチへ行かれたこともありましたね。
――これからお茶を淹れて飲んでみたいという方に、楽しみ方のアドバイスをお願いします。
古川さん:日常の中で気軽に楽しんでいただけると嬉しいです。「お茶ってこんなに種類があって、温度で味が変わるんだ」「こんなお菓子や料理にも合うんだ」という新しい発見をしていただければ。自分好みのお茶を見つけるのもいいですね。いつでもどこでもお茶とともに過ごせる感覚が、日本茶の世界を広げてくれると思います。

(取材・文◎松永加奈)
●DATA
煎茶堂東京
https://shop.senchado.jp/