カオスなメニューの数々がお客への尽きない愛の証

開業時からの看板でもあるちゃんぽんは、変わらぬ味を守り続けている。長崎の製麺所でも希少になりつつある、中国由来のかん水「唐灰汁」を使用し、独特
の風味がある『三栄製麺』の麺を使用。
蒸したちゃんぽん麺はモチモチとなめらかで、皿うどんは極細の生麺を揚げたてで提供する。具材として欠かせない赤い片はんぺんや丸天、きくらげ天も、長崎の『石橋蒲鉾店』から取り寄せる。スープは砕いた鶏ガラと豚骨のみで時間ほどかけてしっかりと煮出した、濃厚な旨味の白湯スープ。塩と砂糖でほんのり甘めに仕上げるのが、本場ならではのバランスだ。

守り継がれてきた本格ちゃんぽんの美味しさに加え、森本さんがこの店を推すもう一つの理由が、夜の“食べ飲み放題”にある。
「一人3時間3300円という破格で、夜の常連さんの多くはこれ一択でいつも賑わっています。かつて居酒屋で修業したご主人ならではの、オリジナリティ溢れる多彩なメニューが、どれでも何品でも楽しめるなんてお店はここだけ。しかも、たこ焼き器まで用意してあって、自分たちで焼いて楽しむこともできます。この店ならではのエンタメ性とお客さん想いな店主の姿勢は、町中華の鏡です」と森本さん。

夜になると続々と常連客が集まり、店主ご夫妻との軽妙な会話も交えながら、店は温かな雰囲気に包まれる。訪れる度に「ただいま」と言いたくなるような、郷愁をそそるこの空気感こそが、町中華酒場に“沼る”最大の理由なのだろう。