
●大阪・北区にある行列ができる洋食屋『復刻西洋食堂 紅梅ダイナー』。時代を超えて蘇った「エビフライ」の魅力を探った。
母が作る玉子焼き、父特製のチャーハン、祖母の豚汁など、誰にでも“忘れられない味”があるものです。
大阪・北区に、そんな思い出の味を復刻させた洋食屋があります。その名も『復刻西洋食堂 紅梅ダイナー』。看板メニューのエビフライを求めて行列ができるお店です。祖父の味を受け継いだ店主・塩本功太郎さんにお話を伺い、人気の秘密に迫ってきました。
祖父の味を求めて会計事務所から料理の道へ

塩本さんはずっと飲食一筋でやってきたわけではありません。かつては大手会計事務所に勤め、朝から晩まで数字と法律を扱う毎日を送っていました。やりがいを感じつつも、どこか物足りなさがあったと言います。
「これは自分じゃなくてもできる仕事かもしれない」
そう思ったときにふと頭に浮かんだのが、子どものころに食べた祖父のエビフライだったそうです。
塩本さんの祖父・望月金次郎さんは、帝国ホテルで修業を積み、大阪を代表する欧風料理の名店『ガスビル食堂』で3代目料理長を務めた人物。戦後の大阪に洋食文化を広めた立役者でした。引退してからは家で料理をふるまうことも多く、その味が塩本さんの”美味しいの基準”になりました。

大人になっていろんなお店を食べ歩いたけれど、あの味を超える、心から美味しいと思えるエビフライがなかったそう。「じゃあ自分で作ってやろう」と仕事を辞め、祖父が残したメモと舌を頼りに味を再現。2012年にお店をオープンしました。 「ゴールの味がわかってるから、後はそこに到達するだけ。ちょっとずつ階段を上る感覚ですね」と話します。
メニューは12種類あり、すべて祖父の味を”復刻”させたものだそう。今回は看板メニューの「エビフライ」をいただきました。





