九州醤油で味付けしたザクフワ食感のからあげ

いただいたのは、ディナータイムに提供されている「大分中津唐揚げ」(750円)。1個40~50gほどの大きめサイズのものが4個。けっこう食べごたえがありそうですね。

九州の甘口醤油で味付けしたからあげで、しっかり2度揚げされています。ひと噛みすると「ザクッ!」っというワイルド系の歯ざわり。軽いおこげが香ばしいからあげです。肉はフンワリとした食感でじんわりしみ出す肉汁がたまりません。
驚いたのは衣と肉の絶妙なバランス。しっかりしたやや固めの衣は口の中で数回咀嚼しても、すぐに溶けてしまうことがありません。ザクッ! ザクッ! とした食感と、肉のフワンフワンとした食感が、しばらく口の中でせめぎ合うのです。

一部のお店で提供しているからあげの中には、衣が肉に吸い込まれるようにすぐに消えてしまうものもあります。衣の味を堪能できないうちに消えてしまうのは寂しい……しかしこのからあげにはそれがないのです。衣と肉の、がっぷり四つの取組が舌の上で繰り広げられます。「どっちも頑張れ!」などと思っているうちにゴックン。のどの奥に消えても衣の香ばしさと肉の旨みの余韻をしばらく楽しめます。
ビールで味付けしたコク深いとり天

からあげの次は、もちろん「大分とり天」(750円)です。とり天は辛子ポン酢でいただきますが、最初の一口は何もつけずにいただきましょう。衣はシャリッとした爽やか系食感。肉は揚げたてのドーナツのようなふっくらソフトな歯ざわり。一般的なとり天に比べて味にコクがあります。「味付けにビールを使っているんですよ」と店主の長門さん。なるほど、このコクの理由はビールでしたか。
辛子ポン酢は辛さひかえめで酸味が爽やか。ほのかな甘みすら感じてしまいます。天ぷらというと天つゆにひたして食べるイメージがありますが、本場・大分では辛子ポン酢や辛子酢醤油で食べるのがわりと一般的。これをとり天に付けて食べると、口の中があっという間に大分県。う~ん、懐かしい! くじゅう連山、由布岳が目に浮かぶ。やはりとり天はこうでなくっちゃ。まさに本場の味です。
まとめ

からあげととり天、各4個を完食してしまった筆者。胃袋を満足させて店内を見渡すと、されていました。これらのほか、メニューには「りゅうきゅう」「ごまサバ」などの大分郷土料理も。次回はこのからあげ&とり天を大分の地酒とともに味わいに訪れたいと思います。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。