カラダに塩梅が合うカレー

2つのカレーは、一見すると「鶏そぼろ」や「鶏の煮込み」のような家庭料理を彷彿させる。しかも一口目は、スパイスがガツンとくるわけでもなく、むしろカレーだということ忘れてしまいそうなくらい優しい味がする。だが後からスパイスがじわじわと効いていくる。

「お客さんから、ここのカレーは体に塩梅が合う、重たくないから毎日食べられるなどと言われます。嬉しい言葉ですね」と有澤さん。
カレーの作り方に対しても「難しいことはしてないんです」とニコニコ。今日のキーマの場合、最初にホールスパイスを油で炒め、その後玉ねぎを入れて茶色くなってきたら、パウダースパイスを追加し、ヨーグルトでベースのマサラを作る。そこに豚と鶏の合挽き肉を入れる。
オーソドックスなインドカレーといえばそうかもしれないが、実は有澤さんは、北インド・南インドの正統派のカレーを学び、それをずっと守ってきた。例えばヨーグルトは手作りで、それも脱脂粉乳から作っていて、脂肪分を少なくして、あっさりした味に仕上げている。
「私のは、鼻歌を歌いながら1時間煮込む楽しいカレーなんですよ。カレーを作っていると、いつもお客さんの顔が浮かびます。今日来そうなお客さんの顔ですね。その方が、辛いのが好きだったり、塩分を控えめにしていたりなどを知っているので、塩やスパイスを入れるとき、ふっと手が止まるんです。このくらいにしようって考えます。それが、体にいい塩梅になるようにと願いながら」