通常のおよそ3倍、総重量は約700g!

店に到着し、さっそく噂の「バカ盛りからあげ」(1089円)をオーダーしたところ、本当に“バカ盛り”なからあげが出てきました! ドンブリに盛り切れなかったからあげが、下のお皿にこぼれ落ちているかのようなビジュアルです。
重量は約700g、通常量のおよそ3倍なんだとか。これはさすがに単独攻略は厳しそうだ…と、心のなかで警告が鳴り始めます。それでもひと口食べてエンジンがかかると、一人でも完食できてしまいそうな気になってくるのが、からあげという食べ物の不思議なところです。

スパイシーな味にこだわっているというこのからあげ、ひと噛みすると、スパイスのいい風味が口の中にパッと広がります。先頭打者によるクリーンヒットのような軽めの先制パンチ。「今からガンガン打っていくぞ!」と言われているようで、わが胃袋も準備が整います。
衣はカリパリ食感ですが、かすかにモッチリ感もあり。適度なお焦げがスパイシーな味と絶妙なタッグを組んでシャープな味わいを演出しています。これはお酒のアテにももってこいの味わい。「やっぱり揚げたてのからあげはウマいなあ」と改めて思わせてくれる逸品です。

湧き出るようなアツアツの肉汁。これまたスパイスの刺激と相まって味覚をガツンと攻めてきます。これは食べ始めると止まりませんね。グループならば争奪戦になりかねないウマさです。
少し咀嚼しただけで衣が肉にすんなりと溶け込んでいくような感覚もあります。最初に感じたカリパリ食感があっという間に消えてしまいます。何とも不思議な食感の衣です。

ちなみに、ドンブリに盛られたからあげの下にはえびせんが隠れています。これにもからあげの味がしっかり染みついてかなり美味。普通のえびせんとはひと味違います。これはおつまみとしてはもちろん、おやつとしても秀逸そうです。
ところでこの『やきとん筑前屋』では、アプリ会員限定でお誕生日に「歳の数だけ」からあげを味わえる特別メニューもあるそう(要事前予約)。聞けばグループで来店してお祝いしながらみんなでシェアして食べるのが一般的だとか。

お弁当や定食などで一人で食べるからあげは、「すべて俺のものだ!」と誰にも気兼ねせず食べられるのが嬉しいものですが、逆に大皿に盛られた大量のからあげを、仲間と一緒に食べるのもまた楽しいひととき。ぜひお試しあれ。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。