旅情をそそるご当地感あふれるメニューが充実
今回試食したなかで個人的に推したいのが、アリストンホテル大分の「乾しいたけポタージュの小籠包」です。全国で40%のシェアを誇る地元産のしいたけでポタージュを作り、小籠包のなかに詰めた手の混んだ一品は、口に入れると口いっぱいにしいたけの味と香りが広がるんです!

岐阜都ホテル(岐阜県)の「あゆ雑炊~香ばしい鮎チップを添えて~」も朝ごはんらしさが好きな一品。岐阜県では鵜飼が有名で、鵜が捕まえた鮎を使った雑炊は優しい味わい。「旅行に来た」という感じがしますね。

シンプルでありながら「こりゃうまい!」となったのが、松島温泉 ホテル松泉閣 ろまん館(熊本県)の「くせになる味と食感!「たこ飯」」です。使用されているのは天草の海で捕れた岩ダコで、まさに地元で食べ続けられている郷土料理。

また、シンプルといえば三朝温泉 旅館 大橋(鳥取県)の「大江ノ郷・天美卵を使った特製出汁巻き」も忘れてはいけません。天美卵とは、大自然のなか平飼い飼育で育てられた鶏が産む卵かけごはん用の卵で、鳥取の大江ノ郷自然牧場から仕入れているそうです。濃厚な甘みがあり、ふわふわに焼き上げられるだし巻き卵はこれぞ朝ごはんという感じがします。

ホテルエクセル岡山(岡山)では、「自分でつくる岡山グルメ!デミかつ丼」が登場。地元の精肉店のヒレ肉を使用したヒレカツは衣サクサク、なかはジューシー! カツにかかっているデミグラスソースも本格的な味わいで、思わず朝から食べ過ぎてしまいそうです。

北海道の静内エクリプスホテルが出すのは「ジンギスカン五六ッケ」。タレに漬け込んだラム肉、地元産の玉ねぎとじゃがいもを使ったコロッケで、トマトソースをかけて食べるのがおすすめなのだとか。ラム臭さがまったくないので、子どもでもおいしくいただけそうです。

こだわりの食材を使った洋風メニューにも注目
朝食といえばやっぱり洋食という人におすすめなのは、THE GATE HOTEL 雷門 by HULCの「こだわり卵のフレンチトースト」。「記憶に残る朝食を」をテーマに考えられたこのメニューは、老舗である浅草ハムのスモークベーコンをフレンチトーストでサンドしています。メープルシロップとシナモンバターをかけて食べると、甘い&しょっぱいが説妙なバランスです。

水上温泉 ペンション 朝ねぼう(群馬県)の「外サク中モチ!焼き立てクロワッサン」は、朝食時間に合わせて焼き上げる自家製クロワッサンです。家族経営のペンションでまさか焼きたてのクロワッサンが出てくるとは思わなかったので、この意外性もいいですね。

筆者が参加した回で1位に選ばれたのは、岐阜都ホテルの「あゆ雑炊~香ばしい鮎チップを添えて~」でした。この宿泊施設を含む計6施設が11月28日に開催されるファイナルステージに進出します。ファイナルステージは東京・代々木の服部栄養専門学校で開催され、和食の鉄人・神田川俊郎氏など料理の専門家たちによる審査が行われるそうです。
非日常を感じられるのが旅先で食べる朝ごはんの醍醐味。次の旅行は朝ごはん基準で宿を選んでみませんか。
(取材・文◎今西絢美)
●DATA