『七面鳥』の絶品カツカレーの味は?

高円寺の町中華といえば、真っ先に名前が挙がるのが『中華 七面鳥』です。1959年(昭和34年)創業だそうで、看板や暖簾にも歴史を感じます。中に入ると、白木のコの字型のカウンターがあり、昼間から瓶ビールを飲んでいるおじさんたちもいて、昭和初期の映画に出てくる大衆食堂みたいな雰囲気。2003年(平成15年)生まれの僕らにとってはとても新鮮に映ります。

『七面鳥』は、これまでいろんなメディアで紹介されていて、特に「オムライス」(650円)が名物。僕もそれを食べようと思っていたのですが、カウンターでおじさんが食べていた「カツカレー」があまりにも美味しそうだったので、僕もそれを食べてみることにしました。
ところが、壁に貼られたメニューには、「カレーライス」(580円)や「カツライス」、「カツ丼」(共に780円)はありますが、「カツカレー」は見当たりません。値段が気になったし、常連さんだけの裏メニューかもしれないし、聞くのも恥ずかしかったので、思い切って「カツ…カレーをお願いします」とモゴモゴ言っていると、お店の人は、にっこり「カツカレーですね」と復唱してくれました。よかった、ちゃんとありました!

注文後、しばらくして出てきたのはお漬物(タクアンときゅうり)。そしてネギが浮かんだ中華スープも。実は、僕は町中華で出されるこの手の中華スープが大好きなんです。湯気が立ってアツアツ。ネギと中華のお出汁で、心も体もあったまります。

そして、メインの「カツカレー」が登場。白い丸皿にこんもりしたごはん。その白飯の急斜面に、カットされた巨大なロースカツ1枚が防波堤のようにがっちりと寄りかかっています。その横には黒々としたカレールーがたっぷり。

ロースカツが巨大なのは、肉と脂身も分厚く、さらに衣もかなり厚めだから。ロースカツをスプーンで1切れをすくうと、カレーのかかっていない部分と、かかっている部分の両方を味わえます。カツは衣のサクサク感が美味しいと思っていましたが、このカツカレーの場合、衣がザクザクとしていて分厚いからか、カレールーに浸してくにゃっとした部分が美味しい気がしました。

そして、カレールーはというと、牛肉もゴロゴロ入っていて、どろっと濃い目。たくさんの野菜とお肉で煮込まれたような、ソースのような口当たりです。しかも最初は甘みもあるのですが、食べ進むと結構、辛い。学食のカレーよりずっと辛いです。
辛さで汗ばんできて、さらにアツアツ中華スープで口の中はかなりホットに。しかし、ここのカレーライスは、中華スープとの相性が抜群。口の中でカレー味と中華味がミックスされて、旨味が深くなる感じです。さらに、普段、家やカレースタンドでは絶対に食べない紅ショウガやタクアンもここのカレーの一休みにとっても合うのが不思議です。

食べ終わると、厨房のそばにいってお支払い。ここで初めて「カツカレー」が880円だとわかりました。トンカツにボリュームがあって、しかも牛肉もたっぷり入っていて、じっくり手間暇をかけて作られたことがわかるカレー。今度は、人気のオムライスも食べてみようと思います。
(撮影・構成◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:中華 七面鳥
住:東京都杉並区高円寺4-4-15
TEL:03-3311-5027
営:11:30~15:00、17:30~21:00
休:土(不定休あり)