1,000円以下のチリワインがヴィンテージワインに変身!? 「ソニック・デキャンタ」でワインは本当に美味しくなるのか?

超音波の振動でワインを撹拌して味を引き出す

 通常、ワインを短時間で美味しくする方法として、「デキャンティング」を行うのが一般的です。しかし、ワインを強制的に空気に触れさせるこの方法は、酸化を促してしまい、劣化する可能性もあるのだとか。また、数時間待たないといけないワインもあり、手間がかかるのが問題です。

 それに対し、ソニック・デキャンタは、超音波の振動で細かい気泡を作り、ワインを撹拌して酸素を抜くという仕組みになっています。しかも、わずか20分で味と香りを引き出せるので、かなり短時間で熟成できるようです。

本体は高さ38×横16.5×奥行き17cm、重さは1.7kg。普段からキッチンに置くには少し場所を取るかもしれない
本体は高さ38×横16.5×奥行き17cm、重さは1.7kg。普段からキッチンに置くには少し場所を取るかもしれない

 使い方は簡単です。まずは本体に冷水を入れます。続いて、ワインをボトルごと本体にセットしましょう。

本体は750mlのボトルが収まるサイズ。コルクなどは抜いておいたほうがより効果的らしい
本体は750mlのボトルが収まるサイズ。コルクなどは抜いておいたほうがより効果的らしい

 あとは、ボタンを押すだけで熟成が開始します。終了のアラートが鳴るまではそのまま放っておくだけでOK。ちなみに熟成中は超音波による振動が起こるので、多少大きな音がします。

使用時間は5~20分の間で設定できる。5分ごとに味を確認するのがおすすめ
使用時間は5~20分の間で設定できる。5分ごとに味を確認するのがおすすめ

熟成させたワインの味はどこまで変わるのか?

 20分後にアラートが鳴ったので、ボトルを本体から取り出して、いざ試飲。開栓して何もしていない状態のワインと、熟成させたワインを飲み比べてにたところ、明らかに味が変化していることがわかります!

見た目は普通のワインと同じ。ただし、熟成したほうが少し香りも出ているように感じた
見た目は普通のワインと同じ。ただし、熟成したほうが少し香りも出ているように感じた

 安いワインは若いものが多いので、なんとなく味が“落ち着いていない”印象があります。酸味や苦味、渋みが立ちやすいんですね。それに対し、ソニック・デキャンタで熟成させたものは、味がまろやかで、角が取れたような味わいになっていました。

 今回、熟成されたことがわかりやすいように、ミディアムボディからフルボディの間の辛口の赤ワインを使ったのですが、別のワインを飲んでいるかと思うほどの違いがありました。これなら安いワインも満足して飲めそうです。

 また、ソニック・デキャンタはワイン以外にも、日本酒や焼酎、ウイスキーなどの蒸留酒にも使えるそうなので、試しに麦焼酎「いいちこ」も熟成させてみたのですが、こちらも大きく味が変化していました。

本体にはいいちこのボトルも問題なく収まる。ワインと同様、見た目では何も変化していなかった
本体にはいいちこのボトルも問題なく収まる。ワインと同様、見た目では何も変化していなかった

 筆者はお酒なら何でも飲むのですが、麦焼酎だけはどうしても香りと味が苦手だったのです。しかし、ソニック・デキャンタで熟成したものは臭みが消えていて、味も澄んでいました。これは好みの問題なので「それじゃあ物足りないよ」という人もいると思うので、やはりワインで試すのが一番かもしれません。

 このソニック・デキャンタ、ワインを美味しく飲むためのアイテムとしては最高なのですが、そのお値段は3万4,800円(税込)。気軽に買うには躊躇してしまいますね。とはいえ、ソニック・デキャンタを使うと赤ワインの甘みが15%増すことが科学的に証明されており、お酒のプロであるバーテンダーの方々にも認められているんです。

 最初から高級なワインを買うことや長期的に使えることを考えれば、自宅でワインを飲む機会が多い人ならこの初期投資は検討の余地アリなのではないでしょうか。

●DATA

ソニック・デキャンタ
http://sonicdecanter.jp/

●著者プロフィール

今西絢美

編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。