
石川県小松市は加賀藩の城下町として発展した歴史ある街。豊かな自然と風土が育む「お米」と白山の清らかな「水」を活かし、地酒づくりを代々受け継ぐ酒蔵も点在しています。
今回ご紹介する『東酒造(ひがししゅぞう)』もその一つ。江戸末期の万延元年(1860年)に創業、小さいながらも歴史深き造り酒屋で、大正時代には300社もあった酒蔵の中で10指に入る蔵だったと言われます。現在は7代目の東 祐輔さんが受け継ぎ、銘酒「神泉」をはじめ、国内外に支持される「飲みやすく味わい深い酒」を醸しています。
国の登録有形文化財の酒蔵を見学する魅力
こちらの東酒造の酒蔵と建物は、国の登録有形文化財に指定されています。格式のある大門をくぐるとさまざまな建物が点在。石造りの酒蔵をはじめ、日本庭園を眺めながらゆったりとくつろげる主屋、四畳半の茶室など、老舗の造り酒屋らしい空間を見学できるのが魅力です。
![庭園を望む主屋のラウンジ。見学はこちらからスタート [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/12/20251221-shisen02.jpg)

「国の有形文化財ということで増改築ができないんです。そのため、日本酒をたくさん作ろうと思ってもちょっと作れない。だから、たくさん作るのは諦めて自分の好きなお酒だけを作ろうと思ったんです」と語るのは代表・東さん。
さらに、「飲みやすい日本酒を提案しながら、酒蔵や日本酒をエンターテインメントなもの、場所にしたいなと。普段お酒飲まない方、お酒に興味がなくてもいいんですよ。庭を眺め、日本文化に興味を持った先に『日本酒ってこんなに美味しいの?』って分かってもらえるだけでもいいんです」
東さんの話は面白い。そして明快だ。時折、小松文化の礎をつくったと言われる前田家の楽しい話なども交えつつ、古い酒蔵ながら今の時代にあった日本酒の魅力を伝え、小さな酒屋の勢いを感じさせてくれます。





