商店街の先のラブホ脇に煌々と輝く赤い看板

さらにファミリーロードを進むと、突然左側にラブホテルが姿を表し、そのすぐ先の年季の入ったビルに真っ赤に輝く「立飲やきや」の看板が見えます。

やや入りづらい入り口ですが、一見さんお断りというわけではありません。少し奥まった入り口の暖簾をくぐって店に入ります。
ホッピーの「中の量」に、その店の良心が表れる

先客は2名。AMラジオが流れるだけの静かな店内で、のんびり一人飲みを楽しまれている様子。カウンターの天井にはなぜかプロ野球のマスコットキャラクターのキーホルダーがぶら下がっていました。

店内には、モコモコした音のAMラジオがかかっており、静かな時間が流れています。一方、カウンターの中では、初老のマスターがワンオペでせわしなく作業中です。

店主の作業の合間を見計らって白ホッピーセット(380円)、つくね・ナンコツ(各140円)をオーダーしました。物価高騰で値上げ後だそうですが、この価格はなんともありがたい限りです。

そして、『立飲やきや』で何よりも筆者が嬉しく思うのは、ホッピーの“ナカ”の量。個人的に「その店の良心はホッピーの“ナカ”の量に現れる」と思っているのですが、この法則で言うと、こちらのホッピーからはもはや良心しか感じません。
また、追加の“ナカ”だけのオーダーは190円。まさに「本当にセンベロできる」のもまたこの店の特長と言って良いでしょう。
塩強めの串モノで炭酸系の酒がグングン進む

程なくして、つくね・ナンコツがサーブされました。やきやの串モノはたれ、塩、みそ、素焼きの4種類から選べます。
筆者はここではいつも塩でいただきます。やや強めの塩が、串モノの味わいを強め、そして肝心の炭酸系の酒をグングン進めてくれるからです。
もちろん、串モノもまたプリプリ食感で肉の旨みを感じる逸品です。特につくねのジューシーな味わい、ナンコツのコリコリ食感が大好きで、後半で七味をかけて味変するのもまた楽しい。筆者はいつもこんなふうに、『立飲やきや』での一人飲みを楽しんでいます。
のんびりとした空気の中でベロベロに……
![味変に七味もまた旨し[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/03/20250315-yakiya11.jpg)
結局この日はホッピーの“ナカ”を3回オーダーして一人飲みを終えました。時間にすると30分ほどでしたが、“ナカ”の量が多いのでもうベロベロ。
最初にいた2組の客ものんびりと酒を楽しんでいます。そして店内には、最後までAMラジオのニュースや交通情報だけが静かに流れていました。
さらに夜が更けると客が増えて賑やかになることもありますが、こんなのんびりとした空気の中で飲むホッピーの旨さは『立飲やきや中野店』ならでは。
常連さんたちに愛される小さな名店の、穏やかな空気に浸りながらの一杯、ぜひ一度体験してみてください!
(取材・文◎松田義人(deco))