清湯スープの鑑(かがみ)のような逸品

『13湯麺~集TSUDOI~』は、東武アーバンパークライン・鎌ヶ谷駅から5分ほど歩いた県道8号線(船取県道)沿い。先日ご紹介した『麺屋 青』からも、徒歩圏内(徒歩5分)に位置する。
つまり2024年10月に開業した『麺屋青』、そして、同年11月にオープンしたこの『13湯麺~集TSUDOI~』と、鎌ケ谷市に2軒の有力新店が立て続けに産声を上げたことになる。鎌ケ谷市は、これまでラーメンという切り口においては特筆すべき話題があまりなかったエリアなので、これをキッカケにラーメンシーンが盛り上がっていけば嬉しい限り。
『13湯麺~集TSUDOI~』に話を戻そう。店主・上東野(かとうの)氏は、千葉県のラーメン好きであれば知らない者はいない名店中の名店『13湯麺』(松戸市五香)のご出身。もともとは福祉関係の仕事をしていたが、人生の転機に『13湯麺』の松井氏と出逢い弟子入り。9カ月の修業の後に、『13湯麺』の屋号で独立を許された新進気鋭だ。
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現在、同店が提供する麺メニューは、「元祖とんみん」、「わんたんメン」、「道野辺ラーメン」、「ねぎラーメン」、「光麺」の5種類。中でもおススメなのは、『13湯麺』の代名詞的な1杯として知られる素ラーメン「元祖とんみん」だ。
綺麗に掃除した親鶏の丸鶏を軸に、深みのある味を演出するために、豚ゲンコツ・昆布・煮干し・鰹節を加え、火加減に注意を払いながら、濁らせないよう丁寧に炊き上げたスープは、その一滴一滴が穏やかな滋味に充ちあふれ、すする度に素材の息吹が身体中に染みわたるような感覚に陥る、清湯スープの鑑(かがみ)のような逸品。

修業先と同一のレシピで製麺所に発注する麺とスープの相性もすこぶる良好で、気が付けば、丼が空っぽになっている。なお、店主は福島のご当地ラーメン「白河ラーメン」が大好物で、ゆくゆくは自家製麺も手がけてみたいとのこと。今後の展開も大いに楽しみな、期待のニューフェイスだ。
●著者プロフィール
田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。