セビチェと日本酒「海風土」が紡ぐ物語

セビチェはペルーの海岸沿いで親しまれている代表的な料理で、白身魚などの魚介類を酸味のある柑橘果汁でマリネしたもの。
『REY』では新鮮な絞り立てのレモンにこだわり、キーライムというフルーティーで酸味の強いメキシカンライムをミックスしながら絶妙なバランスのマリネ液を作り上げています。
最も重要なのは酸味と香草とペルーの唐辛子との調和だといいます。『REY』では酸味をしっかり感じさせながら、最後まで飲み干せるような優しい味わいに仕上げています。おすすめの食べ方はマリネ液も一緒に食べること。食材の旨みも栄養も余す所なく味わえます。マリネ液は、ペルーでは「レチェ・デ・ティグレ(虎のミルク)」として親しまれているそうです。
元々ペルーは100年以上前に日本の移民がたくさん渡っていて、日本の食文化の影響も受けているそうです。セビチェも昔はマリネ液に漬け込んで保存食の要素もあったのだが、日本の刺身の食文化に影響を受け、近年は新鮮な魚の素材を味わうスタイルに変化しているといいます。
『REY peruvian cuisine』と「海風土」との出会い

奥様:セビチェに日本酒を合わせたいと思っていて、佐藤さんに相談しました。そして、紹介していただいたのが「海風土」だったんです。
ラベルもかわいいし、佐藤さんのお話を聞いたら試したくなって、その日に買って、すぐシェフにセビチェを作ってもらって一緒に飲んだら…。
もう、バッチリだったんですよね。他のと飲み比べてもやっぱり断トツで「海風土」との相性が良かったんです。『REY』の味付けにピッタリだって。
佐藤さん:ここにたどり着くのは早かったですね笑。初めて店にいらした時、他に1点紹介したくらいでもう選んでくれました。味わう前にお酒の造りのこと、女性の蔵元杜氏であることなどの背景が気に入ってくれたようです。
すぐにペアリングしてくれて絶賛の返事もいただいて。オープンされてから僕も実際に合わせてみて、こんなにも調和するのかと驚きました。日本酒の米らしい甘みと白麹由来のクエン酸、セビチェに使われる穀物の甘みと柑橘の酸、それぞれが交互にあらわれて、これは食べてみないとわからないです笑。
セビチェの背景を知るほど「海風土」と重なる部分が多かったのも、何か運命めいたものを感じます。そもそもは現・蔵元杜氏である今田美穂さんが蔵に戻ってから「瀬戸内海の幸に合う日本酒を造りたい」という想いから生まれ、甘みと酸味がバランスよく冷酒で飲んでほしい、特に牡蠣に合わせてほしいというコンセプトのお酒です。蔵のある広島市安芸津町は瀬戸内海に面した土地で、魚介が豊富なペルーの環境とも近いんじゃないかと想像します。海を越えてなお、味わいだけでなく土地の環境が同調してますね。
シェフ:せっかく日本でペルー料理を出すんだったら日本酒とペアリングしようと思った時に出会ったのが「海風土」です。
ほのかな甘味だけじゃなくて、乳酸を感じさせるような、ふんわりとした酸味と香りを持っているのでセビチェも引き立つし、お酒も引き立つ。海産物が持っている強い磯の香りをまろやかに包み込んでくれる、非常にマッチしたお酒だなと思って、めちゃくちゃ気に入っています。

真鯛の旨み、もっちりしたお餅のような風味の日本ではジャイアントコーンと呼ばれる「チョクロ」とカリッとした香ばしい風味「カンチータ」が楽しい食感を演出。シルクスイートの甘み、マリネ液の酸味、唐辛子の辛味、様々な味わいがミックスされて複雑なおいしさが口いっぱいに広がる。
そこに、「海風土」を合わせる。「鮮魚のセビチェ」の酸味と旨み、「海風土」の酸味と旨みが交互にやってくるような、不思議なおいしい体験。佐藤さんが「食べてみないとわからないです笑」と言った意味を実感しました。