フルーツ王国の「二酸化炭素」の発生を軽減する取り組みとは? 注目の新品種も登場!

山梨県は「4パールミル・イニシアチブ」のひとつとして、主要農産物のフルーツに着目しました。
県内にはたくさんのぶどう畑が広がりますが、その分、ぶどうの剪定枝も数多くでます。剪定枝は燃やすと二酸化炭素になり空気中に放出されてしまうため、剪定枝を炭化して二酸化炭素の発生を削減する取り組みを行っています。

剪定枝を炭にした後、畑にまくことで炭素を土壌中に貯留。山梨県内ではこのようにして、ぶどうやモモ、キウイ、柿などを育てている畑を数多く見ることができます。
「JAフルーツ山梨」営農指導部の星野一雄さんは、「フルーツの中で特に人気があるのはシャインマスカット。昨年(2023年)はフルーツ全体で年間183億円の売上がありましたが、そのうち30億円がシャインマスカットでした。また『4パールミル・イニシアチブ』の活動として、1580haの畑の面積に対して、16ha分の炭を使用しました。今年はさらに面積を広げて、取組面積1600haを目指します」と意気込みを語ります。
パリっとした皮がたまらない! フルーティな「サンシャインレッド」

そんな「4パールミル・イニシアチブ」の畑で誕生した新品種が、「サンシャインレッド」。サンシャインレッドは別名、「実る赤い宝石」とも呼ばれています。シャインマスカットのレッド版といった感じなのですが、シャインマスカットとサニードルチェを掛け合わせたもの。口に含むとシャインマスカット譲りのパリっとした皮の食感が楽しめます。高糖度(約19度)というだけあり、甘味も抜群!
![手前がサンシャインレッド[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/10/20241029-yamanashi05.jpg)
口元に近づけると、マスカット香に加えて華やかな香りが立ち込めました。この香りだけで完全にサンシャインレッドの虜に。この日は試食用にぶどうを採っていただきましたが、本来の色味はもう少し赤くなるそう。
「サンシャインレッドは、山梨県内の農家のみ栽培が許されている県のオリジナル品種。15年の歳月を経て誕生したこの品種には、すべて認証マークが付いています」(星野一雄さん)

県内で誕生したばかりの「サンシャインレッド」を楽しめるのは、2024年2月17日にオープンした笛吹市にある山梨県立博物館カフェ『Museum café Sweets lab 葡萄屋 kofu』。老舗洋菓子店「銀座ウエスト」の金子博文シェフをグランシェフに迎えて、山梨県の素材が思う存分味わえるメニューを展開しています。
この日は、葡萄屋kofu 代表取締役を務める古屋浩さんがパフェを説明してくれました。
「パフェは、スピキュロスやカベルネのジュレ、シャルドネのシャンティなどで仕上げています。次々に変わるぶどうの味わいと食感の変化をお楽しみください」

サンシャインレッドのパフェは、大粒のサンシャインレッドを16粒も使用した豪華な一品。上部にコロコロと盛り付けられたサンシャインレッドで、一気に高級感のある大人の味わいに。運ばれてきた瞬間からフローラルで華やかな香りが立ち込め、たまりません。
中間層にはカットしたサンシャインレッドが「これでもか!」というくらいに並んでいます。サンシャインレッドがぐるりと囲んでいて、どこから食べても果肉が味わえるのは嬉しいですよね。上品な甘味と程よい酸味をバランスが絶妙です!
下層部は葡萄屋kofuのザクっとした食感のサブレをあしらい、軽やかなマスカルポーネがたっぷりと加わり、まるでケーキを食べているような味わいに。
プレートに、エルダーフラワーや県産ランから抽出したシロップをプレートに添えてあるのですが、これがいいアクセントに。サンシャインレッドにくぐらせたり、パフェにかけたりして味変を楽しめます。見て楽しい、食べて美味しいとは、まさにこのこと!

山梨県はサスティナブルな未来を目指し、「4パールミル・イニシアチブ」の他にも「アニマルフェア」にも取り組んでいます。家畜にとってストレスが少なく、健康的な生活ができる飼育方法を取り入れた養鶏場などもあり、これらの活動は農業分野を中心に、今後どんどん広がりを見せることでしょう。
(撮影・文◎加藤朋子)
●SHOP INFO
店名:Museum café Sweets lab 葡萄屋 kofu
住:山梨県笛吹市御坂町成田1501-1内
TEL:080-8118-7161
営:夏(GW~10月末) 10:00~17:00(L.O.16:00)、冬(11/1~GW前) 11:00~16:30(L.O.16:00)
休:火曜 ※博物館の休館日に準じます
https://www.budoya-kofu.com/