おでん種は自分で好きなものを取るスタイルで人気

NEOPASA浜松下りにある『天神屋』は、ドライバーズスポットにもなっていて、店の奥にはシャワー室や休憩スポットがあります。店内に入るとすぐに飛び込んでくるのは、おでんのコーナー。店内には美味しい出汁の香りが漂って、食欲をそそります。もうこりゃ食べるしかない!
では、早速おでんを取っていきます。『天神屋』のおでんは、静岡の方言のイントネーションから親しみを込めて「しぞ~かおでん」と呼んでいます。こちらでは具材の串打ちから煮込みまで店内で作っています。厨房はフル稼働で、次から次へと今調理したてのおでんを容器に入れていきます。

メインの牛すじの出汁を入れた鍋は、調理時間ごとにそれぞれ具材が分けられて、ぐつぐつと煮込まれています。牛すじのスープにプラスして、25種類の練りものから出る旨みが合わさるスープは本当に絶品です。

「しぞ~かおでん」の中でメインは、多彩な練りものです。静岡おでんといえば、いわしで作る黒はんぺんが有名ですが、『天神屋』では25種類もの練りものがあります。イワシを丸ごと入れた「イワシ君」や、イカの姿串など種類豊富に味わえます。

おでんは25種類以上が1本150円(税込)とリーズナブル。店頭には毎日約30種類が並び、どれにするか迷うほど豊富なラインナップです。いちばん価格の高い牛の肺の「フワ串」や「ビックフランク」でも1本186円なので、いろいろ楽しめます。

静岡おでんの特徴のひとつでもある、独特なおでんの食べ方。通常のおでんとは異なることとは何か、北川さんに聞いてみました。「天神屋のおでんの食べ方ですが、まずは好きなものをお取りいただきます。そのあとダシ粉入りの青のりをふって、秘伝の味噌をつけてお召し上がりいただきます。」ダシ粉入りの青のり、味噌は無料。そのままでも美味しいけれど、せっかくだからこの2つを加えて食べてみてください。
『天神屋』で食べておきたい必須メニューとは

『天神屋』のいちばん人気は「大根」。こだわりの「大根」はとてもぶ厚く、食べ応えたっぷりです。大根が持つ苦みが美味しいダシに移らないよう下茹で。さらに旨みがよく染み込むように、一度冷ましてから煮込んでいるのだとか。これによって、牛すじやたくさんのおでん種から出る美味しいダシをたっぷりと吸った大根ができあがるんです。
美味しいダシを含んだ「大根」はもちろんですが、他にも筆者がおすすめしたいのは「富士の白雪」です。こちらは澱粉で作られたボールの中に鶏肉団子が入ったもの。食べてみるとびっくり、モチモチとした不思議な食感で、やみつきになる美味しさです。

そして必ず食べておきたいメニューその2は、「玉子焼き串」です。おでんというと、茹で卵に行きがちですが、ここではこれを食べてみて。旨みたっぷりのスープを含んだ玉子焼きは、究極のだし巻き玉子のような味わいなんです。これは美味い!
まとめ
地元のソウルフードとして人気の静岡おでん。ダシをたっぷりと吸った練りものをダシ粉や味噌をつけていただくおでんは絶品です。静岡に行ったらぜひ味わってみたいものですが、旅の途中でも楽しめるんです。『天神屋』は、新東名高速道路のサービスエリア、パーキングにも出店。浜松、掛川、静岡、駿河湾沼津の上下線に8店舗出店しているので、途中降車しなくても気軽に寄れるので便利。近くに行ったら必ず寄りたい老舗の名店です。
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国、ウラジオストクなどのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。