美しすぎる飲み物、これは日本で初めての映えドリンクかも?

やってまいりました、デンキブラン(300円)。ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などがブレンドされた秘伝のメニューです。
キリッと冷やされたグラスになみなみと注がれています。めちゃくちゃ美しい琥珀色! しばしうっとり見とれてしまいました。ちなみに現在の「デンキブラン」はアルコール30度、元祖デンキブランを味わいたい方は40度(!)の「電氣ブラン<オールド>」(400円)をどうぞ。

グラスの縁ギリギリまで注がれているので、最初の一口目はグラスを持つよりも、思いっきり琥珀の海にドボンするイメージで顔を近づけていきます。ほんのりと甘い口当たりに絡み合う薬草の風味。おお、甘やかで美味しい!
さすが30度あるので、飲み込むと喉がカーッとアツくなります。でも、それがたまらない! 複雑な味わいなので合わせる料理によってさまざまなマリアージュが楽しめそうです。

ネットの情報によると、常連さんはビールをチェイサーにするとか。ウソでしょ!? と思ったら、「ビールをチェイサーにされるお客様は多いですよ」と、5代目の神谷直彌さん。そのため、おつまみもビールに合う揚げ物などが人気なのだそうです。
かにコロッケの濃厚っぷりにデンキブランが進む進む……

今回は、デンキブランに合う料理として、「かにコロッケ」(900円)と、もう一つの定番料理「ジャーマンポテト」(650円)をオススメされたので注文することに。
「ジャーマンポテトもかにコロッケも、おそらく60年以上前からあるメニュー。さらに昔、創業当時は洋食はなかったので、豆腐や煮豆、こんにゃくの田楽といった簡単なおつまみでデンキブランを楽しんでいたようです」(5代目・神谷さん・以下同)
かにコロッケ、まずこのボリュームにビックリ。女性のゲンコツ大くらいあります。しかも、ものすごーく中身の密度が高くてねっとり、それでいてふわふわ。ふんわネットリ!

聞けば、ズワイガニのフレークを使い、タマネギとマッシュルーム、バタールーを合わせて作っているとのこと。
「土・日・祝日は1日で100人前くらい軽く出ますね。出来合いをポンと出すのではなく、昔から自家製、手作り。そこが長きにわたり、お客様にご評価いただいているのかもしれません」

中濃ソースではなくトマトソースがかかっているところも特徴。衣のサクサク部分と、トマトソースのシミシミ部分のコントラストが絶妙です。
「ジャーマン」だけど下町ならでは!? 定番の一皿

お次は「ジャーマンポテト」。これは間違いなく万人が喜ぶ味! その秘密はウスターソース。ジャガイモを一口サイズに切り、2度揚げてからタマネギとベーコンとウスターソースで炒めているのだそうです。ウスターソースを使うと“下町の味”になるのだそう。こうした安定感のある一皿は、複雑な味わいのデンキブランによく合います。

明治時代の雰囲気に思いを馳せたいなら、1階の神谷バーのワイワイした中でいただくのもいいのですが、2階のレストランカミヤは落ち着いていて、お酒も飲める上にパフェやサンドウィッチなどの喫茶メニューなどもあり、ゆっくりと楽しめます。デンキブランを静かにちびちび飲むにもちょうどいい。

「下町の気取ることのない店です。お客様がお1人でもグループでも、お気軽にお立ち寄りいただきたいですね。2階はお子様ランチなどもご提供しています。お子様連れ、ご家族連れのお客様は2階をおすすめしてます」と神谷さん。
浅草寺詣での帰りに、ちょっと一杯、あたたまりに行ってはいかがでしょうか?。
(取材・文◎松みのり)