食材の味や香りも“スパイス”だ!

食後に、名物メニュー「痺れるチャイ」をいただきながら、店主・大澤さんにお話を伺った。
「昨年9月にオープンして、1年間、日替わりの2種を盛った“合い盛りカレー”を出させていただいたのですが、最近はそのルールを変えて、おかずをいろいろ乗せた定食スタイルに変えました」という。

その理由を聞くと、1皿に肉や野菜といった食材自身が持ついろいろな味と食感を楽しんでほしいと思うようになった、というのだ。
「僕らは最初からスパイスカリーというカテゴリでやっていますが、食材が持つ酸味やエグミ、甘みなどの味や独特の香りも、僕らは“スパイス”だと考えているので、スパイスは最小限にして、いろいろな食材を使ったおかずを盛り付けるワンプレートになったんです」
例えば、紫大根のアチャールは、季節の柿を合わせ、少しだけハラペーニョなどのスパイスを加える。こうすることで紫大根と柿が本来持つ素材そのものの味を存分に引き出せる。

「僕はインドに行ったことがないので、むしろスパイスから妄想が広がるんです」という大澤さん。
そして目指しているのは、「インド人のように毎日食べたくなるカレー」ともいう。だから、様々な調理法を駆使して、食材の“スパイシー”な部分を引き出すことを、懸命に考えているのだ。
「しらすのヴィンダルーや老酒のプルドポークは、あっさりしていて、とても評判がいいんです。だから、うちの代表作になればいいなと。ただ、最近は、秋鮭を使ったカレーも評判がよくて、魚は季節感が出るので、これからもいろいろつくりたい」と大澤さん。
確かに、完食した後にも、重さがなく、「またすぐに食べたいな」と思う。
そして「痺れるチャイ」は、山椒の芳香と甘みがじんわり響いてきて‥‥。

「カレーはスパイスを最小限しか使いませんが、チャイは、ネパールの山椒とマダガスカルの胡椒をしっかりときかせて、スパイスを飲むような感じにしています。カレーを食べた後に、柑橘系の山椒の甘味と深い香りの胡椒は、舌も胃もすっきりさせてくれるし、後味に、妄想が膨らむでしょう?」(大澤さん)
確かに、このチャイは、ガツンとスパイスを感じて、インドやネパールを旅しているようなイメージが頭を駆け巡る。
妄想定食を味わって、ふわふわと自由気ままな妄想の旅に出かけてみては?
(取材・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:妄想インドカレーネグラ
住:東京都杉並区高円寺南3丁目48-3
TEL:非公開
営:12:00~22:00
休:月・火・水
https://www.instagram.com/negura.curry/