まさかのカツ2枚!「カツカレー」の大盛りトータル906g

普通は、カツカレー大盛りを頼んだ場合、ルーが大盛りとか、ライスが大盛りなのを想定しますよね。だってたった+150円だし。追加トッピングでカツ+300円とか+500円とかになっているならわかります。しかし、『サッチモ』の大盛りは、ライスもルーも増量で、しかもカツが普通盛り1枚に対し大盛りはカツ2枚!
計測してみると、ライス&カツのほうは、直径25cmの皿に高さ約9cm、重さは744g。ソースボートのルーは162g。トータル906g(共に器の重さは除く)。1kgは行ってないけれどザクザク衣のカツ2枚。これはどっしりお腹いっぱいになれそうな予感がします。

早速ひと口! メニュー名がインドカレーなので、いわゆるスパイスの効いた黄色くてサラサラのカレーを想像していたのですが、とろみもあり、茶褐色の家庭的なカレー。初めて食べるのにどこか懐かしさを感じます。コショウ系の辛さが効いていて、キリッとした味わいも楽しい。キャベツのシャキシャキもいいアクセントに。
そしてカツ。衣がザクザク、中はしっとりのロースカツです。揚げたてなので衣がカリッと立っている感じで、最初はルーをかけず、カツとライスで味わいます。続いて、カツにちょっとルーをかけてひと口、さらに、ライス、カツ、ルーの3つを合わせてひと口。カツはカレーのルーに負けない力強さです。ルーがソースボートで出てくるからこその、カレーなし、カレーありで楽しめるカツ。しかも2枚分だから、ライスやルーのペース配分を考えずカツを攻めていけるのが贅沢です。

このお店、約30年前に店主のお父さんが脱サラしてオープンしたそう。父親が大好きだったルイ・アームストロングから店名が『サッチモ』に。そして、カレーの作り方は内緒とのこと。「欧風は小麦粉多め、ジャガイモがたっぷりでお母さんの味ですよ。インドカレーも、客足が伸びない日はドロドロになっちゃうんですけどね(笑)」と明るく話す店主。ということは、この日はたまたまドロドロ系だったのかも?
ちなみに「インドカレー」も「欧風カレー」も店主のお母さんが作っているそう。まさに「母の味」です。

つまり、突然脱サラをしたお父さんを支えたのが現在カレーを作っているお母さん。開業当時の大変だった話を聞かせてくれます。大手企業に勤めていたご主人が突然脱サラして「カレーとジャズの店をやりたい」と言い出した時には猛反対したこと、秋葉原にあったカレーの有名店に修業しに行ったこと、そして開店後はご近所の人にゴハンを炊いてもらって助けてもらったことなどなど。「町内会全員で助けてくれたの」。それってすごいことですよね。ご主人の破天荒な話はどんどん続きます。秘密だというルーの作り方については「夫が始めたけれど、夫の時とずいぶん違うんですよ」と微笑むお母さん。
カツカレーの大盛りは週に5人ほど注文が入るとのこと。大盛りを頼む人はいつも大盛りで注文、中にはカツカレーを頼んで食べた後、「欧風ビーフカレー」を注文する猛者もいるそうです。「ビーフカレーは具がいっぱいでおすすめですよ」と店主。おそらくですが、2~3kgは余裕で食べられる常連さんと思われます。

最初は順調に食べ進めていたけれど、さすが肉の揚げもの2枚。2/3を超えたところで満腹感がいきなりやってきます。カレーだけならスイスイ行ける1kg未満。しかし食べ応えのあるカツ2枚は、重さではなくドスッとお腹にくる。最初から飛ばしすぎたか? もっとしっかり咀嚼して食べ進めるべきだったか? などと反省点は多々ありますが、完食まであとわずか。お母さんに怒られないよう、小休憩を挟みつつ、なんとか完食。いや~ギリギリだった~。
周囲を見てみると、ご近所さんらしき人や、ガテン系の若い男性2人などが、無言でささっと食べていきます。みんな食べるスピードが早い。「配達のお仕事をしている人はよく食べますよ~」と店主。なんか納得です。
ちなみに、テイクアウト注文も同価格でOK。なので、時間がない人やたまたま近くを通った際などには、テイクアウトで頼むのも良さそうです。お父さんの突然の脱サラに振り回された結果、地元で愛され30年続く東日本橋のカレー店『サッチモ』。次回はジャガイモたっぷり、母の味「欧風カレー」を食べに、また近いうちに来たいと思う、アットホームな雰囲気と味のお店でした!
(取材・文◎いしざわりかこ)