ビール工場併設のカレー店？高円寺に誕生した『アンドビール』の噂の真相

カレー好きとビール好きの二人が始めた店

　さて、この店を切り盛りするのは安藤耕史さんと祐理子さんという若いご夫婦であった。耕史さんはカレー好き、祐理子さんがビール好き。

　二人は、それぞれの製法を極めようと、スリランカでカレーを習ったり、ビール工場を回って研修をしたりしてきた経験を持っていた。そのきっかけを聞いてみることに。

　まずは大阪で一人暮らしをしている時にスリランカカレーを初めて食べたという耕史さん。
「ただオクラしか入っていないカレーでしたが、肉なんていらないと思うくらいに美味しかった。ただのオクラがスパイスの魔法にかかったように奥深い味になる。カレーを勉強すればするほど奥深さに、友人や会社の同僚に作るようになった」とのこと。

　また、もともとビール好きだったという祐理子さんは、
「各地の工場見学に回っているうちに、醸造家の人がとてもかっこ良く見えたんです。ビールは1ヶ月でできるんですが、麦を煮出して、ホップで苦味をつけて、冷ましてタンクに入れて発酵・熟成するという一見、単純にも見える工程の中には、実は何千、何万通りもの方法があって作り手の思いが味になる。そんな繊細な作業に魅力を感じました」と語る。

　二人はそれぞれに研究や修行を重ね、お金を貯めて、今年ようやくお店をオープンさせたという。

「自分たちの作品を表現したい」と熱く語る一方で、「こだわりのビールとこだわりのカレーを味わって！なんて言うと、身構えてしまうかもしれないので、そんな堅苦しいことは忘れていただき、ビールだけでもいいし、カレーだけでもいい。また、ビールに合うおつまみもいろいろあるので、気軽に遊びに来て欲しい」とも。

　最後に、「ビール工場が完成したらまた来てください！」と口を揃え、手を振る安藤夫婦。ん？　なるほど「アンド」は安藤。そういう意味だったのか！？“仲良し夫婦”が営む小さなビアバー。ビール工場が完成したらまた行こう！

（取材・文◎土原亜子）