
チキン南蛮といえば、定食や弁当、居酒屋のつまみとしても人気のメニュー。発祥は宮崎県延岡市で、いまや宮崎の郷土料理としても知られています。その延岡市でチキン南蛮が誕生したのは昭和30年代。当時、市内に『ロンドン』という洋食店があり、チキン南蛮はそこのまかない料理だったと言われています。そしてこの『ロンドン』で働いていた2人の料理人がそれぞれ独立して、チキン南蛮を提供し始めました。そのため、チキン南蛮には2つの“系統”が存在するのです。
一つはレストランチェーンの『おぐら』で、一方は定食屋『直ちゃん』。『おぐら』は揚げたムネ肉を甘酢にくぐらせ、タルタルソースをかけるタイプです。一方の『直ちゃん』は揚げたムネ肉を甘酢にくぐらせただけで、タルタルソースはかけないタイプです。チキン南蛮というとたっぷりかけられたタルタルソースをイメージしてしまいますが、発祥の地ではタルタルソースなしのものも一般的なのです。

今回お邪魔した『入谷キッチン&バル』は宮崎県出身の竹本寛さんが営むお店で、タルタルソースをかけない『直ちゃん』の系統に属するチキン南蛮を提供しています。使用するのは宮崎県産若鶏。こちらで「元祖延岡チキン南蛮定食・むね肉大」(1000円)をいただいてきました。