中身はその日の仕入れ次第!おまかせにしたらすごいことになった豪華海鮮丼

目の前にやってきたのは、花のように盛られた、パッと見ただけでは何種類かわからないゴージャスな海鮮丼。早速計測すると、直径19cm、高さ9cmの丼に、直径約23cmの刺身の花。重さは1170g(器の重さを除く)。味噌汁を入れたらおそらくトータル1.2kgが胃袋の中に。
重量はもちろんですが、海鮮の種類の多さに目を見張ります。いったい何種類?「今日はマグロ、千葉のカンパチに石鯛、愛知の真鯛、茨城のヒラメ、岩手の地ダコ、静岡の生しらすに北海道のイクラ、サーモン、ネギトロ、赤貝、玉子も入れて12種類だね」と話すのはオーナーの片寄直彦さん。

「うちは豊洲から食材を毎朝仕入れて、その日のうちに調理、加工するので新鮮な上に、毎朝豊洲に足を運ぶことで、その日の旬、オススメのメニューを出せるんですよ」とオーナー。豊洲で一番大きい仲卸とタッグを組んで15年、魚の目利きには自信があるとのこと。
だから「どんどん出しちゃうんだよね~」。「おまかせ海鮮丼」の注文が入ると、鮮度のいいうち、美味しいうちに食べてもらいたいと、その日の仕入れの中であれもこれもと盛ってしまうそう。だから大盤振る舞いの店って評判なんですね!

マグロの刺身は赤身に見えてトロッと口の中でほどけていきます。これ、もしかして?「あ~、うちは冷凍じゃないね。生のマグロ」。凍らせていないからこその滑らかな口当たりにテンション上がる~。
タコはブリブリで貝はコリコリ。たまらん! そして、衝撃の鮮度といったらいくらと生しらす。よくあるいくらって球体をキープしていてもトロトロだったりするものが多い中、ここのいくらはプチプチで弾力がわかる! さらに、駿河湾名物生しらす。とれた日の昼には食べないとドロドロになっちゃう生しらすが、ここでは半透明でツルツル。美味い! ここの魚介類の鮮度の良さ、軽く衝撃を受けるほどです。

旬かつ新鮮な海鮮を食べつつ、オーナーに質問。あの~、海鮮がウリの店なのに、なんでカツとかハンバーグとかカレーもあるの?「あ~、うちね、お客さんのリクエストに可能な限り答えちゃうから」。常連さんがあれ食べたい、これ食べたい、と言われるごとにメニューが増えていき、今では壁のほとんどがメニューで埋まるほど種類豊富に。
「だからね、すぐ常連さんで席が埋まっちゃうから。予約は取ってないので、早いうちに来るのがいいね」とのこと。緊急事態宣言で飲食店がどこも大変な中、このお店の活気は別格なのかも。地元の人たちから愛されているのがわかります。

そしてこの店、もう一つの話題が「テイクアウト惣菜」。実はランチタイムが終了後、テイクアウトの準備に入り、刺身や焼き魚などを販売。多い日には200~300人が買いに来るとのこと。「うちで刺身を買ったら、スーパーで買うのと全然違うからね。次の日に残したくないから、どんどん売っちゃう」。
タッグを組んでいる仲卸から、大量に食材が入ってきても、その側から売っちゃうそうで、中には「あまりに大量に来たものを売りさばくのに忙しくて、儲けなしで売っちゃえ~って時もあるね」。それは話題になるってもんです。
鮮度の良さ、盛りの良さ、そして勢いの良さを感じられる『ザ・築地』。次回はテイクアウト惣菜を買いに来たいなぁ。でも、ここのマグロの旨さを知ってしまった以上、「ネギトロユッケ丼」を食べに来なくては! この店で刺身にいかず、あえてカレーやカツを食べる常連さんが贅沢で羨ましい、と思うほど、絶品すぎる海鮮丼でした!
(取材・文◎いしざわりかこ)