これが800円!?料理長渾身のカレーチャーハンは旨みの深さが段違い!

目の前にやってきたのは、まるでシチューのような褐色のカレー、そして黄色の卵が具のシンプルなチャーハン。彩りのチンゲンサイの緑がいいアクセントになっています。そしてこれは? 「口直しの生姜の千切りを中央に乗せているんですよ」まさかの生姜トッピング。カレーとチャーハン、と考えたらおかしくないけれど、初めてみた!
そしてこれも初めて。チャイニーズ蒸し揚げパンが添えられているのはなぜ?「これは、フレンチの最後に、お皿に残ったソースをパンで拭うように、最後にルーをこの蒸し揚げパンで拭うと美味しいからですよ」とニッコリ。なるほど。それも魅力的すぎる!

まずはルーから一口。とろみはしっかり、そして濃厚な旨みです。とろっとろで肉や野菜の旨みがぎゅっと濃縮されているのに口の中ですっとほどけていく、品のある美味しさです。一口目から一気に虜に。
「牛肉のバラ肉とスジ肉、野菜を丁寧に煮込んでカレーのベースを作っています。中華風なので、カレーのスパイスに加えて、台湾産の沙茶醤なども入れ、そこから3日間かけて作るんですよ」と料理長。カレーのルー作りに3日以上かけているってことですか!

そしてパラパラのチャーハンは、パセリとクミン入りでシンプル。カレーの濃厚な美味しさを引き立てる存在になっています。さらに、添えてあるチンゲンサイはシャキシャキで食感の違いを楽しめるし、時々生姜を口に入れるとシャキっとリセット。サラダやスープもあり、食べ飽きることがなく、むしろもっと食べたい、もっともっと、と口に頬張りたくなる美味しさです。
元々は、中国調理部の総料理長が見習いの頃に賄いで作ったのがきっかけ。そのうちに美味しさを追求するようになり、大きな寸胴で牛肉を煮込むことから始め、トータル3日以上かけて作るようになったとのこと。
「王道のカレーに中華のエッセンスを加えたカレーですね。小麦粉はほとんど使っていません。洋食と同じ、いや、洋食に負けないこだわりと美味しさですよ」と料理長。カレーチャーハンに対する気合と愛情をビシビシ感じます!

カレーチャーハンはランチタイムに来るお客さんの5人に1人は注文するという人気料理の一つ。だからメニューでも大きく載っていたんですね。他にも、伊勢エビ風味の担担麺や、フカヒレの姿煮こみやお重などもお勧めとのこと。「麻婆豆腐ランチ」(920円)も根強いファンが多いメニューだそうです。
ホテル内にある中国料理のレストランでも、やはり賄いから生まれたカレーチャーハン。しかし、食材をじっくり煮込んでスパイスや醤でオリジナリティをだし、見た目の美しさまで追求しているのはさすがです。
最後の一口はもちろん揚げ蒸しパンでルーを全てすくって完食! 800円でここまでうっとりできるカレーチャーハンは、もっと食べたい、また食べたい、と思える美味しさ。たとえ市ヶ谷に用がなくても、電車に乗って食べに来る価値あり! ですよ。
(取材・文◎いしざわりかこ)