
突然ですが、筆者は担々麺がものすごく好きです。それも、いわゆる日本特有の汁ありタイプではなく、汁なし担々麺。というのも、その昔、旅行で訪れた担々麺発祥の地・四川省成都の屋台の味が忘れられないからです。
現地で食べた汁なし担々麺はチープなプラスチックの小椀に盛られ、いかにも大雑把に作ったような見た目でしたが、唐辛子と花椒(ホアジャオ)の清涼感のある香り、そして麻辣のキレッキレの辛シビ感、香辛料による塩味・酸味・苦味・甘味の多層的な味わい。さらには油の旨みも深く、わんこそばのごとく何杯でも食べたくなる味でした。

近年、日本にも本場の味に寄せた担々麺専門店が増えて、四川風の汁なしタイプが身近で食べられるようになりました。実際、どれも美味しいのですが、なんかピタッとハマる味がありそうでない…という印象を持っていました。タレの味わいや麺の質感、スパイスの新鮮さなど、要因は色々あるのでしょうが、成都のものと比べると、何か今ひとつ物足りない気がしていたのです。
ところが、最近「これはすごい!」と思える汁なし担々麺を発見しました。きっかけは、食べ歩き好きの知人からの情報。「学芸大にある『香氣(couki)』という店の「紅(くれない)汁なし担担麺」が美味しいから食べてみて」と言うのです。

調べてみると、『香氣』は学芸大のほかにも、東京の祖師谷、経堂、千歳烏山、沼袋の計5店舗を展開していると判明。そこで、家から一番近い中野区の沼袋店に行ってみることにしたのです。