こだわりの焼鳥の味わいは?

この日の「おまかせコースたか(7本)」は、みさき、ソリレース、ひざがしら、ふりそで、背肝、ちょうちん、野菜串のオクラ。普段はなかなか食べられない希少部位ばかりです。そこで、料理長の小澤さんにお話を聞きながらいただきました。

「“みさき”とは、雌の尾のことです。雄の尾の“ぼんじり”に比べると、身がキュッとしまっているのが特徴です。その旨みを感じていただくために塩と香草を練り込んだガーリックバターで味付けしています」(小澤料理長・以下同)
いただいてみると、表面のパリッとした皮目。プリッとした肉の食感。とてもジューシーなのに、“ぼんじり”ほど脂っぽさはなし。炭火の香りとガーリックバターがより美味しさを引き上げています。
「“ひざがしら”は、鶏の膝軟骨の周りのお肉。非常に小さな部位なので、1串に8~10羽分を使用しています。脂の旨みが濃いので、こちらは生醤油でさっぱりと仕上げています」

そして最も衝撃的だったのが「ちょうちん」です。見た目のインパクトも凄いのですが、食感がとても面白いんです。
「“ちょうちん”は、未成熟卵と卵管。2つの食感を楽しんでもらうために、オリジナルの焼き器を使って、火入れに差をつける工夫をしているんです。オススメの食べ方は、まず、黄身を1つと卵管部分を半分お口に入れていただき、2種類の味わいを楽しんでみてください」と小澤さん。
言われた通りに食べてみると、黄身がプチンと弾け、中から半熟の卵黄がとろりと広がります。続けて、卵管部分の弾力のあるクニャリとした食感と旨みが続きます。この2つが口の中で合体すれば、もう“最高”のひと言。

このように、7本の串それぞれに、職人の技と美味しさへの追求が詰まっていて、感動しっぱなし。さらに、ワインや日本酒も充実しているので、1串1串お酒とペアリングしながら楽しめるのがまた嬉しいところ。とくに今は、「日本酒の利き酒セット」(1500円~)がオススメ。入手困難な山形の『十四代』も、種類豊富に揃えているのでとってもお得に楽しめるんです。

そして、今年の秋冬の『酉たか』の魅力は焼き鳥だけではありません。なんとオープン7年目にして初めて、鍋料理をスタート。それが「秋田県産 比内地鶏 発酵白菜鍋」(1人前3800円)です。

この鍋も焼鳥屋のこだわりがギュッと詰まっています。まず濃厚な鶏白湯スープ。そこに炭火で焼いた比内地鶏のもも肉や胸肉。さらに焼鳥で大人気のつくねもたっぷり入っています。
また、油揚げは、大正14年創業の歴史を持つ福井県の高級豆腐・油揚げの老舗『谷口屋』のもの。春雨は、奈良の昔ながらの天日干しの戎国産はるさめ。そして自家製の発酵白菜と辣油で、“味変”しながら堪能します。焼鳥とはまたベクトルの違うこだわりを感じる絶品鍋です。
ちなみにこの鍋は1人前から注文可能なので、焼鳥串のコースと鍋の両方をオーダーしてシェアするのもオススメ。ぜひ、今年の秋の夜長は、鶏と日本酒を思いっきり堪能してみては?
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:酉たか
住:東京都世田谷区玉川3-21-21 ハイムカワベ1F
TEL:03-3700-0403
営:平日17:00~22:00、土日祝16:00~22:00
休:無休(年末年始・市場休場臨時休業あり)
http://toritaka.com