ソース原理主義者をも唸らせる『小出屋』の魅力とは?

焼きそばがブームだそうだ。その進化はめざましいものがあり、今やトマトソースやイカスミ、ホットチリなどのアレンジ焼きそばが登場しているという。
そんな状況に、心の中で「ケッ!」と思っていた。
焼きそばといえばソース。ソース味が一番うまいに決まっている。中でも、筆者は“焼きそばソース原理主義”の中の“屋台ソース派”である。
昭和の子どもにとって、地元のお祭りで食べる屋台焼きそばは、ご馳走だった。具はほとんどないが、焼き蒸した麺の芯まで甘辛いソースが染みこんでいて、どぎつい赤色の紅ショウガがびっくりするくらい合う。このモーレツに酸っぱい紅ショウガを、汁まで焼きそばにかけてツンツンするような刺激の中で食べるのが好きだった。このジャンキーな味、昭和に子ども時代を過ごした人なら、舌の記憶に残っているのでは?
今でも、屋台風の焼きそば屋を見かけては食べている。幼少期の刺激的な味わいに再会できるかも…と期待してしまうのだ。でも残念なことに、大人になって味覚が変わったからなのか、どうも納得する味に出会えない。しかし、とうとう見つけたのである。焼きそばのチャンピオンとも思える至高の味を。
それが、東京・中野にある『中野やきそば処 小出屋』である。
最初は、何の気なしに買って帰っただけだった。ちょっと冷めたところをつまみ食いしたのだが、その味に驚いた。ソースの香りがするのにソース味ではない。これはできたてアツアツをきちんと確かめに行かねば!というわけで、某日、再訪してきた。