生トマトのフレッシュな味わいを感じる「ブラッディーメアリー」

最初の1杯目は、桃太郎トマトを絞り、ウォッカと合わせて黒胡椒をさっと振った「ブラッディーメアリー」。一口飲むと、いわゆるトマトジュースで割った時のドロッとした濃厚さはなく、サラダのような、軽やかでフレッシュなトマトの味わいを感じます。「外国からのお客様の中には、トマトの味がする、と喜ばれる方もいらっしゃいますね」と伊藤さん。生トマトならではの澄んだ味、と言うのでしょうか。ウォッカだからアルコール度数は高め。だけど、思わずゴクゴク飲みたくなる美味しさです。
すっきりと喉越しを楽しむ「ジントニック」

続いて出てきたのはジントニック。ジンをトニックウォーターで単に割っただけではなく、「No.3 ロンドンドライ・ジン」と、ドイツの「モンキー 47 ドライジン」、2種類のジンをミックス。辛さではなく、カルダモン、シナモンなどのスパイスを舌に感じるのと同時に、フローラルや柑橘系、新緑のような香りが、口から鼻に抜けていきます。とても爽やかで、透明なのに複雑な美味しさを感じるカクテル。男女関係なく、一度飲んだら好きになりそうな味わいです。
トロリとした口当たりと濃厚な甘味にうっとりする「ルシアン」

今度は琥珀色のカクテル。一口飲むと、トロッとしていて甘い。これは?「コーヒーリキュールのカルーアと、ウォッカで作る「ルシアン」です。ねっとりとしたカルーアの持つ力強さを感じられますよ」とのこと。炭酸や水などでのばしていないため、少しずつ、ゆっくりと味わうのがおすすめです。
ちなみにウォッカは、ポーランドの「ソビエスキー・ウォッカ」。アメリカ最大の酒類コンテストのひとつ「ベヴァレッジ・テイスティング・インスティテュート」でNo.1を受賞したことのある、高い評価のウォッカです。
世界初のヴェルモットと呼ばれる「プント・イ・メス」を

ルシアンに比べて赤褐色。カッティングが美しいグラスで出てきたのは「ジンアンドイット」。イタリア、トリノのヴェルモットを「No.3 ロンドンドライ・ジン」と合わせたものです。「マティーニの原型と言えるカクテルですね」と伊藤さん。「プント・イ・メス」は、1786年にイタリアのトリノで生まれた、世界初のベルモットと呼ばれるお酒。苦味の強いスイートベルモットをジンと合わせることで、華やかな味わいが生まれます。これもゆっくり、じっくり味わうのがおすすめです。
月面旅行に想いを馳せて「スカイボール」

1969年、アポロ11号が人類初の月面着陸に成功してから今年で50年。「スカイボール」は、60年代後半のアメリカで生まれた、宇宙をイメージしたカクテルです。レシピはウォッカ、トニックウォーター、レモンスライス、氷。そして、銅製のマグカップで飲むのが正しいスタイル。『LAND BAR artisan』では、スミノフ製、オリジナルの銅製マグカップで飲むことができます。銅のマグカップならではの口当たり、キリッとした冷たさも味の一つ。宇宙や、60年代の勢いのあったアメリカを想像しつつ、飲むのも楽しいかもしれません。

「美味しい果物や野菜など『農家さんの仕事』と、いいお酒を真剣に合わせていくのが私の使命だと思っています」と語る伊藤さん。野菜や果物はしぼりたてにこだわり、素材の良さ、味の違いをわかってもらえるように作っているとのこと。カウンターには常に旬の野菜や果物が置いてあるので、それを見て、カクテルをお任せするのもいいですね。
昔はアンティークのグラスを扱っていたそうですが、震災をきっかけに国産品を使うと決意。今は江戸切子や国内メーカーのグラスが中心です。「日本のものづくりを拡散していく、地域の応援をしていきたいと思っています」(伊藤さん)。
昼14時から営業、6席だけのこじんまりとしたお店。だからこそ、完璧な状態で出される、美しさと美味しさを兼ね備えた、職人の技を実感できるカクテル。バー初体験の人も、カクテルに興味がある人も、きっとその洗練された美味しさに、感動してくれること間違いなしですよ。
●SHOP INFO

店名:LAND BAR artisan(ランドバー アルチザン)
住:東京都港区新橋3-15-6 村上ビルB1F
TEL:03-3433-4322
営:14:00~00:00(L.O.)
休:日曜