徹底した温度管理で出来立ての美味しさを。
『アンテナアメリカ 横浜店』(横浜)

アメリカのクラフトビールの輸入を行う、ナガノトレーディングが展開するボトルショップ&テイスティングルーム『アンテナアメリカ』。アメリカの7000以上のブルワーの中から、美味しさはもちろん、輸送中の冷蔵管理をしっかり行える業者のみを選び、お客さんの手元に届くまで温度管理を徹底。ブルワリーで飲む出来立ての美味しさを堪能できる、アメリカのクラフトビール好きの間では、聖地ともいえるお店です。
2018年3月に横浜駅ビル内にオープンした横浜店は、「アメリカンクラフトビールのファンを増やしたい」と、ライトなビールファンも気軽に立ち寄りやすい雰囲気。理由は、ビールがスタイルごとに並び、常駐している知識豊富なスタッフが丁寧に解説してくれる親切さから。
豊富なラインナップにはアメリカでも入手が困難なビールもあり、日本人はもちろん、外国人の常連客も多いとか。約40の醸造所、200種以上が揃うビールの中から、好みや気分に応じたとっておきの一本に出会えるはず!

写真左の「FAIR STATE IPA」はしっかりと残る、心地よいホップの苦味が特徴の一杯。癖になる味わいでファンが多い、ミディアムボディのアメリカンIPAです。昨年11月に日本に上陸したばかり。
中央の写真は「SMOG CITY WHITE PEACH SAISON」。ハンドピックで丁寧に収穫されたホワイトピーチを使用し、オーク樽で発酵させて作られたセゾンビール。桃の旨みと酸味のハーモニーが絶妙で、さっぱりとした後味です。
そして「FIRESTONE WALKER DBA」はアメリカのビールの祭典で金賞を受賞した、世界が認めたアロマのイングリッシュ・スタイル・ペールエール。木樽由来のスモーキーさやバニラなどの風味が感じられます。
●SHOP INFO

店名:アンテナアメリカ 横浜店
住:神奈川県横浜市西区南幸1-5-1 新相鉄ビル ジョイナスB1F
TEL:045-548-8733
営:11:00~23:00
休:無休
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老舗酒屋が挑むベルギービール特化の角打ち
『平野屋酒店』(神泉)

調布へ続く街道として江戸時代から賑わった「滝坂道」に、明治40年に創業した『平野屋酒店』。渋谷の奥座敷として大人が集うようになる前から、街を見つめ続けてきた老舗に新たな風を吹き込んだのが、5代目の平野明良さん。2013年、自身がもともと大好きだったベルギービールを集め、立ち飲みのビアスタンドを酒屋に併設したのがはじまりです。

スタート当初は100種ほどだったベルギービール。折良くやってきたクラフトビール再評価の波に乗り、アメリカ、カナダ、日本などのクラフトビールも集めつつ、商品を拡充しました。その根底を支えるのは平野さんのビール愛。「希少なビールを探すのも、あれこれ迷うのも楽しい」という平野さん。やはり酒屋の血は争えないのでしょう。現在の品揃えは常時150種以上。もちろんどれも試飲した上でのセレクト、ビール好き店主のお墨付きですよ!

「LAMBIC BEER シャポーパイナップル」は自然発酵の酸味にフルーツを加えるベルギーの伝統的なビール・フルーツランビック。こちらはパイン果汁を加えることで、爽やかな酸味と自然な甘みを生み出しています。
中央の「STONE ENTER NIGHT Pilsner」はカリフォルニアのブルワリー『STONE』と伝説的メタルバンド『メタリカ』のコラボで誕生。西海岸らしくパンチのあるピルスナーで、暑い時期にグビッと飲み干したくなります。
そして画像右の「Prallel49 JERKFACE9000」は一般的な大麦ではなく、ウィート(小麦)麦芽を使用したエール。強めにきかせたホップと小麦由来のフルーティな香りが、ドライで軽やかな味わいを生み出しています。
●SHOP INFO

店名:平野屋酒店
住:東京都渋谷区神泉町11-10
TEL:03-3461-3025(ビアスアンド)
営:12:00~23:00(ビアスタンドは17:30~23:00)
休:日・祝、第3土
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まるでレコード屋のようなビールのセレクトショップ
『The Slop Shop Tokyo』(都立大)

今年3月にオープンしたばかりのスタイリッシュなこのお店、仕掛け人はビールの輸入商社から独立した4人。当然、クラフトビールの予備知識は十分ですが、冷蔵庫に並ぶおよそ120種はツテを頼りに無理やり集めたものではありません。「ただ数を揃えるのではなく、明確な方向性を持ってセレクトしました。レコード屋のようなイメージです」と、眺めるだけで店の思いや嗜好が伝わるラインナップを目指したそう。

セレクト基準は「伝統を踏襲しつつ、そこに独自の解釈やプラスαの挑戦があるもの」。クラシックもトレンドもバランス良く揃っていますが、それぞれがそこに置かれる意味があり、狙いがあります。さらに「国内の小さなブルワリーも紹介したいから」と、樽生のタップも5種。作り手の情熱や国内ビールの未来まで思い描いたクラフトビールのセレクトショップ。今後も目が離せない期待のニューカマーです!

「LEVEL LET’S PLAY」は日本人に馴染み深いピルスナータイプをベースにドライホッピングを施すことで華やかなアロマをプラス。ハーブや柑橘の香りに爽快な飲み口で乾杯にふさわしい1本です。
中央の画像が「FAR YEAST 東京ホワイト」。『Far Yeast Brewing』は、フルーティで暑い時期にぴったりのビールが得意。こちらのセゾンもフルーティな香りと爽やかなホップの香りがあり、ドライでシャープな飲み口です。
右の画像の「LINDHEIM Lords of acid」はノルウェーからの1本。ヨーグルトと乳酸菌で酸味を加え、パッションフルーツのエキスをプラス。アルコール度数は低く、フルーツが前面に出た飲みやすいビールです。角打ちでは全て上記価格のほか、別途抜栓料200円(500ml未満)がプラスされます。
●SHOP INFO

店名:The Slop Shop Tokyo
住:東京都目黒区中根2-5-10 エスカイア都立大 107
TEL:03-6421-3116
営:15:00~22:00、土・日・祝11:00~22:00
休:無休
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一見だと少し入りづらいかも…というような角打ちに対する印象を覆すようなお店が増えてきた昨今。気負わずに、店主に好みを伝えればオススメを選んでくれるの魅力のひとつですね。お酒を愛する人が集う場所だからこそ、マニアックな銘柄との出会いが期待できそうです。
(文◎河島まりあ・鴫原夏来 撮影◎上田佳代子・鈴木拓也)
※当記事は『食楽』2019年夏号の記事を再構成したものです