独自の二段製法で作る新食感うどん

まずは、定番メニューの「ちくわ天と温玉 or 舞茸天の出汁を選べるうどん」。
ちくわ天は必ずついてきて、温玉か舞茸天のどちらかを選べます。出汁も温かけ・ぶっかけ温・ぶっかけ冷の3種類から選べるスタイル。今回は舞茸天とぶっかけ冷にしてみました。
麺はつるりと滑らかでお餅のようにもちっと弾む。しっかり噛み応えがあって、豊かな小麦の香りが鼻に抜けていきます。つゆには昆布と数種の節が使われており、関西風の上品な味わい。トッピングの天かす、ごま、しょうがをかき混ぜ、すだちをキュッと絞れば、さっぱりしてまた違った風味が楽しめます。

舞茸天は衣が軽く、口の中でふわっと香りが広がる。鯛ちくわ天はサクサクと香ばしく、噛むほどに旨味が溢れ出します。
もちもち食感のうどんはどうやって生まれたのかを聞いてみると、気温や湿度によって粉の配合や麺の太さを変え、一度茹でたあとに圧力釜で仕上げるという独自の二段製法を取り入れているとのこと。 「生麺って周りに粉がいっぱいついてるでしょ? それをいきなり圧力釜で加熱するとお湯が濁って、麺の中に水分が入りにくいんです。だから先に一度茹でて粉を落としてやった方が良いですね」と白川さん。理想のうどんにたどり着くため、開業前にガレージを借りてガス・水道・電気を引き、何度も試作を重ねて現在の製法を生み出したそうです。
一杯のうどんに込めた挑戦と情熱

その熱量はどこからやってくるんですか?と尋ねてみると、笑顔でこう答えてくれました。「目指しているのはおっちゃんおばちゃんがやってる手作りの定食屋さん。サバも焦げてるんですけど、味噌汁も辛いんだけど、毎日食べられるでしょ。出来合いのものとか化学調味料は極力使わず、飽きないうどんを作りたいんです」 例えばカレーうどんのつゆ作り。8時間かけて鶏白湯を作り、野菜やスパイスなどを加え、2週間冷凍してから粉砕。それを当日、和風出汁で割って提供しています。
「夜中の3時に来て仕込みをはじめて、帰宅は遅ければ8時半。ちゃんと仕込もうと思ったらかなり時間がかかりますよ」
取材中、隣の席から「先週来て、また今日も来たんです」という声が聞こえてきました。ここまで手間暇をかけているからこそ、何度も食べたくなってつい足を運んでしまう。白川さんの目指す”毎日食べられるうどん”に、着実に近づいているのかもしれません。
食材がヒントをくれる斬新な創作うどん

白川さんのうどんは、和食の枠に収まらない“自由な発想”も魅力。今回は「黒毛和牛入りビーフストロガノフうどん」をいただきました。デミグラスソースと和風出汁を組み合わせ、黒毛和牛を使った“洋食×和食”のハイブリッドな一杯。濃厚なソースともちもちのうどんが、驚くほどぴったり合うんです。
ほかにも「フカヒレうどん」「ビシソワーズうどん」「オニオングラタンスープうどん」など、ジャンルを横断した期間限定メニューが次々と登場します。
![盛り付けにもとことんこだわる [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/11/20251116-udondaining06.jpg)
ただ、自由に発想しても、思い通りの形にできるとは限りません。
「よく食材を買いに道の駅に行くんですけど、悪天候で欲しい食材が手に入らないこともあって、メニューを決めさせてくれないんです。お店をやってて大変なことっていうのはそれですね」
そんな風に頭の中のアイデアが崩されたときにこそ、思いがけない発見があるそう。
「偶然出会った淡路島産の玉ねぎを見て、“これでオニオングラタンスープうどんを作ってみよう”と思いついたんです。食材がヒントをくれる瞬間が一番楽しいです」
業界初!?うどんを練り込んだ「うパン」
![スイーツ系から惣菜系まで約20種類揃う [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/11/20251116-udondaining07.jpg)
そんな発想力が生んだのが、人気商品の「うパン」。テイクアウト商品を考えていたときに誕生したそうです。
「プリンなんかも作ってみたけど、“うどん屋がプリンを売っても仕方ないな”と思って。せっかくなら、うどんと関係のあるものにしたかったんです」

圧力釜でゆでたうどんをペースト状にして生地に練り込み、もちもち食感のパンを開発。最近は、うどんを使ったパンやドーナツを見かけるようになりましたが、白川さんが売り始めた当時はまったくなかったそうです。

せっかくなので「黒毛和牛入りビーフストロガノフうどん」のソースにつけて食べてみました。小麦の風味とほんのりとした塩気が感じられて、いままで食べたことのないもっちり食感。コク深いビーフストロガノフとの相性もぴったりです。
お店で味わったあとにテイクアウトもしたのですが、そのまま食べてもトーストしても絶品でした。「パン作り極めすぎて、もうパン屋さん開けるんちゃうか」と笑いながら話す白川さん。うどんだけでなくパンにも妥協しない情熱が垣間見えました。
行くたびに出会える、新しい一杯

もちもちのうどんと、小麦の風味が香る「うパン」。その両方に、料理人としての熱意と遊び心が詰まっていました。今後作ってみたいメニューを尋ねると「食材が教えてくれるから、正直まだわからないですね」とのこと。
次に訪れるとき、どんな新しい味に出会えるのか。それもまた、この店を訪れる楽しみのひとつです。
(撮影・文◎安達春香)
●SHOP INFO
うどんdining KONA×MIZU×SHIO
住:大阪府大阪市中央区南本町1-2-6 Fiore Building 1F
TEL:06-7508-1717
営:【うどん】11:00~14:00(L.O)
【うパン販売】11:00~18:00(なくなり次第終了)
休:日曜、月曜
https://www.instagram.com/udon_konamizushio





