●大阪の西淀川区に地元のムスリム向けパキスタン料理がいただける人気レストランがあります。異国の辛い料理をこよなく愛するフォトグラファーが、金曜日限定の絶品ランチビュッフェをレポートします!
大阪に行ったら絶対に訪れてみようと思っていた店がありました。それが西淀川区にある『大阪ハラールレストラン』。大阪マスジド(イスラム教の礼拝施設)の目の前にある、ムスリムに本場のパキスタン料理、それもハラール料理(イスラム教の戒律に則って作られた料理)を提供するレストランです。
それゆえ、味が本場のままで本格的であることは言うまでもなく、そして金曜日のランチビュッフェがとてもおトクだという噂を聞いて、目指して行ってきました。
『大阪ハラールレストラン』があるのは西淀川区大和田、大阪湾に接する工業地帯です。最寄り駅の阪神本線・千船駅は大阪梅田駅からたったの12分。千船駅から店までは徒歩5分くらい。意外と近いのです。
とはいえ、普通の大阪観光ではまず行かないであろう場所であり、事実、観光客らしき人は一人も見かけず、それどころか通行人もほとんどいませんでした。
千船駅から左手に向かい、神崎川にかかる千船大橋を渡った先も人はまばらで、先ほどまで歩いていた梅田の喧騒との落差が激しく、急に別世界に来たような気分に。
そのまままっすぐ歩くと、町工場と住宅が混在した、どこか懐かしい感じのする下町っぽい雰囲気の町が現れました。そして、特徴的なドーム型の屋根が見えてきます。これがイスラム教の礼拝所・大阪マスジド。目指す『大阪ハラールレストラン』は、道を挟んだ先にあります。
さて、なぜこんな場所にイスラム教の礼拝所があるのか。聞けば、ここ西淀川区には、10年ほど前から中古車ビジネスに関わるパキスタン人が多く住むようになり、イスラム教の礼拝所を求める声が多くなったそう。そして彼らのコミュニティで寄付金を募って2012年に開設されたのが、この「大阪マスジド」だそうです。
参拝者はパキスタンのほか、インドネシア、エジプトなど世界各国にルーツを持つムスリムたち。毎週金曜日には礼拝が行われ、その後にみんなで食事に行くため、周辺には他にも数軒のハラールレストランがあります。
『大阪ハラールレストラン』がオープンしたのは2013年。周辺ではいちばん古株かつ人気のレストランです。13時過ぎには礼拝を終えたムスリムでいっぱいになると聞いていたので、店が混む前の12時くらいに店に入りました。
店内はイスラム教らしい華やかな装飾が印象的。明るくてゆったりとしています。まだ礼拝中の時間だったので、店内のお客さんは私を含め日本人3人でした。ビュッフェ台にはおいしそうな料理がずらりと並んでいます。
ビュッフェで食べ残しはよくないので控えめに盛り付けました。パキスタン人の店員さんが「ナンいりますか?」と聞いてくれ、焼きたてを持ってきてくれます。ドリンクはラッシーが供されます。
チキンビリヤニ、チキンコルマ、ひよこ豆のカレー、マトンカレー、真ん中にあるのはミックスベジパコラ(野菜のかき揚げ)……どれも本格的なパキスタンの味! すごくおいしいです!
かなり香り高くスパイスがしっかり効いていて、どの料理も日本のカレーの基準でいうと辛口。どの料理も同じような色のカレーに見えますが、使っているスパイスや材料が違っていて味はそれぞれはっきりと違います。
すべての料理が美味しいのですが、筆者は特にマトンカレーが気に入って、お腹はいっぱいだったのですがおかわりしてしまいました。なお、写真にはありませんが、デザートの「ハルワ」(セモリナ粉を使ったプリンのようなお菓子)もしっかりいただきました。
お腹いっぱいになっても、いつまでも食べ続けたくなるような、最高のパキスタン料理でした! 食べ終わる頃に、ちょうど礼拝が終わったらしく、続々とムスリムのお客さんが入ってきます。金曜日にこちらを訪れる際には開店時間の11時〜13時前までがおすすめです。
まとめ
『大阪ハラールレストラン』では本場そのままのパキスタン料理が味わえるだけではなく、大阪にいながらにして、異国の雰囲気が体感できます。カレー好きの人には特にオススメ。貴重な食文化を体験しにぜひ訪れてみてください。
●SHOP INFO
店名:大阪ハラールレストラン
住:大阪府大阪市西淀川区大和田4-13-2
営:11:00〜15:00、17:00〜22:00
※ラマダン期間中は営業時間を変更
休:無休
●著者プロフィール
工藤真衣子
Photographer。人物を中心に様々な媒体で撮影。グラビア、インタビュー、プロフィール、ドラマ映画スチールなど。ライター:食レポ、レシピ記事は現地系異国メシ、珍しい食材、味のある店など個人的に好きな店や料理を紹介。新宿御苑前で写真館「スタジオ アトリーチェ」経営。