まるで「ラーメン二郎」のようなルックス! そのお味は?

スープとともに登場した「茶色丼」(950円)。見た瞬間に「え? ラーメン二郎?」と思わずつぶやいてしまいました。それほどのデカさ。ラーメン丼に1個40g前後のからあげが8個、そしてもやし、ニンニク。もやしの上にはアブラがのせられています。とんでもない迫力です。

この下に麺とスープがあってもなんら不思議ではないルックスなのですが、からあげを少しだけ移動させてみると、ちゃんとご飯があります。まぎれもなくからあげ丼です。聞けば、ご飯は約450g、もやしが約350gとのこと。からあげと合わせると、総重量はおよそ1.2kgほどもあることになります。これはもうボリューム満点、というレベルではなく、破壊力抜群のからあげ丼です。

どこから攻めるべきか…。しばし悩みますが、ここは正攻法。からあげ丼なのでからあげからいただきます。タレがかかっており、普段食べているこちらのからあげよりも少し味が濃いめですが、美味しいからあげです。衣のカリッと感も健在。この時点でからあげ8個は完食できると確信しました。

もやしの上のアブラは、背脂を使用し、オリジナルレシピで作ったというゼラチン質たっぷりの逸品。ひと口だけ舌にのせてみると、これが激ウマ! トロリとした舌触りに、こってりとした甘辛い味わい。白いご飯にはもちろん、これを舐めるだけでもお酒にアテとして成立しそうなキケンなウマさ。
もやしは、箸でつまみ上げるとしんなりしている印象でしたが、食べれば見事なシャキシャキ具合。鉄板焼きなどで食べるもやしと似ていて、これまた香ばしくて美味しい。調子にのった筆者はニンニクも箸でひとつまみ。しかしこちらはかなり刺激的。ビリビリと舌を突き刺すようで、思わず水を流し込みます。
アブラを崩してからあげと一緒に食べれば味変も楽しめますが、それだけではもったいない。ご飯もたっぷりあるので、アブラやニンニクを混ぜつつ食べるのがオススメです。ちなみにご飯はいわゆる「おかかご飯」。ここにアブラとニンニクが加われば、おかずなしでも余裕でいけます。
まとめ

この茶色丼、からあげだけの美味しさは言うに及ばず、このアブラが重要な役割を果たしていると思いました。印象としては「何にでも合いそう」な汎用性の高い味わいといったところでしょう。
ところでこちらのオーナーや店長さんはラーメン二郎が大好きなんだそうです。そのラーメン二郎へのリスペクトから「同じようなものをからあげでも作れないか」と、試行錯誤を経て完成したメニューなんだとか。
味はもちろんラーメンとは異なりますが、こういう食べ方もアリ! というのが筆者の印象。からあげを盛り付けただけのからあげ丼よりも、楽しみながら食べられます。とんでもなく素晴らしいからあげ丼を生み出してくれたものです。やはり食には楽しみがないといけませんね。まさに“食楽”。今後もそのマインドで新たな「食楽」の発掘にいそしみたいと思う筆者であります。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。