今年の鍋は発酵がキーワード! 都内で食べられる絶品「発酵鍋」3選

鮒ずしの旨味が溶け出す極上鍋『日本橋 滋乃味』(日本橋)

「発酵出汁の旨酸っぱい豚しゃぶ」1人前2800円。鍋のスープは、昆布出汁と飯のみながら、アミノ酸系の旨味をたっぷり含んだ飯が深い味わいを醸し出す。具は、豚バラ肉のほかトマトと大根。わさび菜や水菜は、しゃぶしゃぶにして食べるのだが、よく煮込んでも古漬けのような酸味が生まれて美味
「発酵出汁の旨酸っぱい豚しゃぶ」1人前2800円。鍋のスープは、昆布出汁と飯のみながら、アミノ酸系の旨味をたっぷり含んだ飯が深い味わいを醸し出す。具は、豚バラ肉のほかトマトと大根。わさび菜や水菜は、しゃぶしゃぶにして食べるのだが、よく煮込んでも古漬けのような酸味が生まれて美味

 日本を代表する発酵食品のひとつ鮒ずし。すしのルーツと言われるこのなれ鮓が、大陸から日本に伝わったのは、1400年ほど前のこと。日本最古の発酵食品といっても過言ではないでしょう。

 その鮒ずしの飯いいを使った世にも稀なる発酵鍋を味わえるのが『日本橋 滋の味』。鮒ずしのふるさと滋賀県のアンテナショップ『ここ滋賀』に併設するレストランです。

「ともすれば廃棄されてしまいがちな鮒ずしの飯を再利用して、その美味しさを伝えられないものかと考えたんです」と料理長の高橋拓未さん。

 そして出来上がったのが、「発酵出汁の旨酸っぱい豚しゃぶ」。ちなみに、飯とは、鮒ずしと一緒に漬け込んだお米のこと。ブルーチーズにも似た独特の匂いと乳酸発酵なればこその個性的な酸味には抵抗のある方もいるかもしれませんが、一度ハマれば病みつきになる魔性の旨さが潜んでいます。

4人分400gの飯を、約2.5倍の量の出汁で滑らかになるまで溶き混ぜる。出汁は昆布のみでとったもの
4人分400gの飯を、約2.5倍の量の出汁で滑らかになるまで溶き混ぜる。出汁は昆布のみでとったもの

 この飯を昆布出汁で溶いた飯出汁で、豚の三枚肉や野菜をしゃぶしゃぶして食すというのだから、ある意味究極の日式発酵鍋です。豚は、滋賀の豊かな自然に育まれた森本豚を使用。そのストレスなく育った豚の脂の甘みを、飯出汁ならではの旨みを含んだ酸味がまろやかに包みこみ、えもいわれぬ深みのある味わいを醸し出します。

〆は麺で。飯の出汁には米の粉と、米繋がりの相性の良さを見せる米麺。茹でるとややとろりとした食感になる米麺は、飯のとろみのあるだしとよく絡む。お好みで白こしょうをたっぷりと振って
〆は麺で。飯の出汁には米の粉と、米繋がりの相性の良さを見せる米麺。茹でるとややとろりとした食感になる米麺は、飯のとろみのあるだしとよく絡む。お好みで白こしょうをたっぷりと振って

 どこか中国南西部に住む少数民族の発酵鍋を彷沸とさせる味なのですが、それもそのはず。なれ鮓のルーツが中国雲南省やタイ北部であることを思えば合点がいきます。歴史が薫るロマンの味をぜひ。

●SHOP INFO

日本橋 滋乃味 店内

店名:日本橋 滋乃味

住:東京都中央区日本橋2-7-1 ここ滋賀2F
TEL:03-6281-9872
営:11:30~14:30(14:00LO)、17:00~22:00(21:00LO)、土日祝11:30~17:00(16:00LO)、17:00~21:00(20:00LO)
休:不定休