豚骨ベースとは思えぬ透明スープ。超さっぱりでコク深い!

いざ、実食です。ご覧ください、この澄み切った透明なスープ。これ豚骨からとっているなんて信じられますか? 豚骨スープといえば白濁していてこってり、独特のにおいがあるイメージですが、それは火力全開でガンガン煮ることで骨の髄などが溶け出しているから。

こちらのお店では手間はかかっても、フレンチや割烹料亭と同じ手法でスープを取っているのだそう。「徹底した火加減とていねいなアク取りを行うことで、透明でクセのないスープに仕上げています。いかに透明なスープに仕上げるか、それも腕の見せどころです」(岩間さん)。なるほど、えぐみや雑味のない、実に上品な味わいがするのはこのためなんですね。
トッピングには、シャキシャキした食感と甘みを感じるタマネギのみじん切り、緑色に輝くたっぷりのワカメとメンマがのっていて、硬すぎず、柔らかすぎないワカメは三陸産。肉厚で適度な歯ごたえがあり、このスープによく合うんです。

麺は白く美しくなめらかで、つるつるシコシコ。のどごしもよく、酸味とコクがバランスよくまとまったスープに絶妙にマッチ。
半分ほど食べ進んだら、自家製ラー油による味変を楽しみましょう。こちらのラー油に使われているのは、香りの唐辛子と辛みの唐辛子の2種類。「湯麺」もこのラー油に合わせて作っているそうで、「湯麺がなければこのラー油はなく、ラー油がなければこの湯麺もありません」と岩間さんが言い切るほど、不可欠なものでした。

あっという間に完食です。スープも最後の一滴まで飲み干せる美味しさ。食べ終わると、心も体もじんわり温まるのは、60年以上変わらない味と真摯な姿勢が一杯から伝わるからかもしれません。

ちなみに、麺、スープ、タマネギ、メンマ、ワカメ、ラード、ラー油など、必要な材料がすべてそろった持ち帰りセット(2人前から)もあります。箱の裏面には詳しい調理の仕方も記載され、自宅でお店と同じ「湯麺」が味わえるのはうれしいですね。
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戦後の平塚で独自に花開いた『老郷本店』の「湯麺」。食物繊維が豊富なワカメ、体の酸のバランスを中和する酢、血液サラサラ効果が期待できるタマネギが使われた「湯麺」は、健康が気になる人も安心して食べられる、究極の健康食といえるかもしれません。ぜひ平塚に食べに行ってみてください。
(撮影・文◎池田実香)