どこかスキッとした味わいの海老のピリ辛ビーフン

最初にいただくのは干し海老・アミ海老を使ったという「成城石井自家製 シンガポール風ドライミーシャム(海老のピリ辛ビーフン)」。本来「シャム」とは茹でたビーフンに様々な具材を乗せ、酸味の効いた甘辛いスープをかけていただくものだそうですが、『成城石井』では、ドライタイプにアレンジ。スパイシーで甘酸っぱい焼きビーフンに仕上げたのだそうです。
実際にいただいてみると、細めのビーフンに複雑に絡まる辛味のインパクトがまず口の中に広がりますが、添えられた卵焼き、ニラ、油揚げなどと絡めて食べるとまろやかになり、どことなくスキッとします。クセになる味です。
コク深いスパイスチキン煮込みでご飯が止まらない!

続いては「成城石井自家製 シンガポール風アヤムシオ丼(スパイスチキン煮込みご飯)」をいただきます。「アヤシムオ」とは鶏の骨付き肉をコリアンダー、タマリンドで煮込んだ有名なシンガポール料理の一つで、スパイシーであるものの辛くなくコク深い独特の風味です。
実際に口にしても一言では言い表すことができない複雑な肉の風味で、ご飯がとにかく進みます。聞けば、ハーブ類に加えて成城石井では、仙台味噌、黒糖といった日本の食材も柔軟に取り入れているのだそうで、おそらく多くの日本人が美味しく感じる一品だと思いました。
海老の汁なしラクサはアジアンな雰囲気を存分に感じる味!

続いて「成城石井自家製 シンガポール風ドライラクサ(海老の汁なしラクサ)」をいただきます。シンガポールの定番麺料理「ラクサ」を、ドライタイプにアレンジしたものですが、聞けば今回の商品化にあたり、麺そのものも開発したのだそうです。
この麺に海老や鶏肉のベースに香辛料やココナッツクリームを加えたソースと合わせて炒めたもので、口にしたところ辛味と酸味のインパクトが強く、おそらく日本人向けに味を調整していないような、最も現地の感覚に近い味のように思いました。しかし、異国の料理だからこそ、本気のものが食べたいもの。その味のうまさに加え、成城石井の気合を最も強く感じる惣菜のように思いました。
カレー風ビジュアルにしてカレーではない! 牛すね肉煮込みご飯

そして「成城石井自家製 シンガポール風ビーフルンダン(9種スパイスの牛すね肉煮込みご飯)」をいただきます。見た目的にはカレーのようにも見えますが、カレーではなく、牛肉をココナッツクリーム、レモングラス、ナッツなどの他スパイスと一緒に煮込んだもので、CNNが発表する「世界一おいしい料理」で1位になったこともあるものだそうです。
複雑に入り混じるソースですが、それでいて牛肉本来の味、ほろほろ感を引き上げるような味わいでこれまたご飯がどんどん進みます。これからの寒い季節に体を温めくれそうな優しさを感じる味でした。
プラナカン料理に合う! 初めての味わいのカクテルもラインナップ

ここまでに紹介した4品が『成城石井』の「シンガポールフェア2021」の惣菜ですが、一方これらの料理と合うカクテルなども用意しています。「成城石井 Singapore Cooler」「成城石井 Shibuya Cooler」(ともに549円)の2品ですが、いずれも複雑で初めて味わうカクテルでありながら、お酒さえ飲めれば誰でも美味しくいただけるフレーバー。海外旅行が事実上できない今にあって、ここまでに紹介した惣菜と合わせて飲めば、自宅にいながらにして異国感がアップすることウケアイです。
このほかにもスパイシーフルーツジュースを複数展開するほか、『成城石井』が展開するワインバー「La Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」でもランチやディナーでシンガポール料理を展開するようです。
日本国内のシンガポール料理専門店でもなかなかお目にかかれないこれらの料理をどうしてここまで成城石井が推すことになったかは、駐日シンガポール大使のピーター・タン閣下との出会いにあったそうです。
良い意味で「日本ナイズ」されていない、シンガポール現地の味を再現!

コロナ禍で海外旅行はもちろん、外食自体のハードルが上がるなか、『成城石井』では「おいしいものを自宅で楽しんでいただけるようにしたい」「海外に行けない今だからこそ、自宅で異国気分を味わえるような食事を提供したい」と考えたようです。しかし、その本格的で未知なる味を提供しようにも、スタッフも海外を訪問して研究することが難しいわけで、ある意味ジレンマに陥っていたそうです。
そんなときに『成城石井』に多大な力を貸してくれたのが駐日シンガポール大使のピーター・タン閣下。大使は自ら腕をふるったシンガポール料理を、『成城石井』の調理人にふるまい、料理法や調味料はもちろん、メニューの背景にある同国の歴史・文化を事細かく伝授してくれたのだそうです。このことでシンガポール料理の中でも、日本人にはあまり知られていないプラナカン料理を再現できたことに加え、大使の思いに強く共感をしたことで今回の「シンガポールフェア2021」実施に至ったようです。

前述した通り、外国の料理を日本で味わうとなると、どうしても日本人向けにアレンジされたものが多いことがあります。しかし、実際に食べたいのは、むしろアレンジいっさいナシの本場ならではの料理です。まさしくこういったニーズを『成城石井』が再現してくれたのが、今回のシンガポール料理の惣菜群だと思います。これまでに味わったことがない美味しい味、異国感を感じられる味、ぜひ一度ご賞味ください! 本当に美味しいですよ。
(撮影・文◎松田義人)