幻の豚を使用した奥深い甘さの『浅草メンチ』

最初に並んだのが、伝法院通りにある『浅草メンチ』というお店。とても小さな厨房でお店の人がメンチカツを揚げていて、次々に来訪するお客さんの接客もこなしています。
筆者が受け取ったメンチカツも揚げたてのアッツアツ。お肉のジューシーな香りが鼻孔をくすぐり、これは間違いなくウマい! と食べる前から確信してしまうほど。

パカッと割ってガブっと噛んでみると、ザクザク&サクサクとした食感に続き、豚肉とタマネギのとろ~りとした甘みと旨みが大洪水となって口内に充満します。しっかりと味つけされているうえ、肉自体の旨みが強いので、ソースなどは不要。そのままで十分美味しいです。
衣は生パン粉を使用しており、中に使っているお肉は神奈川県の名産100選に選定されている幻の豚「高座豚」と牛肉をブレンドして使ってるんですって。あっという間にペロリと食べ終わっても、脂のくどさはゼロ。もっと食べたい! という気持ちになります。
ちなみに「冷凍メンチ」(6個1800円、12個3600円)も販売しているので、その場で食べられなくてもお土産にできます。
8時間じっくり煮込んだルーで作る『豊福』の「黒毛和牛カレーパン」も美味!

続いてご紹介する行列店は、『浅草メンチ』の並びにある『豊福』というお店です。こちらは「黒毛和牛カレーパン」が名物。メンチを食べたばかりですが、揚げ物として全然重くなかったので、続けてここにも並んでみました。

カレーパンのフィリングのカレーは、国産黒毛和牛を使用し、オリジナルスパイスでなんと8時間以上煮込んだ逸品。ちょうど筆者の前の人で品切れになったので、7分ほど待ちになってしまいました。が、揚げたてを1番にもらうことができました。これはラッキー!
そのアツアツを2つに割ってみると、湯気とともに8時間煮込んだとろとろのカレーがお目見え。見るからに濃厚で、スパイシーな香りがぐんぐん立ち上ってきます。これも間違いないはず!

かじってみると、パンの外側はカリッカリで、中はふわっとした生地。カレーは、肉や野菜などの旨みがぎゅっと濃縮されています。カラッとキレのよい油と柔らかなパンとカレー、その三位一体で旨みが増幅。うーん、たまりません。
ちなみに店先の看板によれば、『豊福』さんのカレーは東京・西麻布の伝説のバーのオーナーの味なんだそう。バーでカレーを出していたのでしょうかね。確かにお酒にも合いそうな大人な感じが漂う極上のカレーパンでした。
焼き芋専門店のパリパリおさつチップスは食べ歩きに最適

次に見つけた行列店は、浅草花屋敷のそばにある『焼き芋専門店 芋やす』です。国産の旬のさつまいもを使い、遠赤外線で焼き芋にして販売しているお店です。この日は茨城県産の最高級ブランド「紅天使」と、千葉県産のプレミアムな「紅はるか」の2種類。見ているだけでも、ねっとりホクホクの甘さが伝わってきます。

『芋やす』では、焼き芋以外に、「干し芋シェイク」や「焼き芋サンド」(さつまいもを裏ごししたペーストをパンで挟んでサンドイッチにしたもの)など面白い商品がたくさんありました。

中でも筆者が惹かれたのが、学生たちがベンチに座ってパリパリ食べていた「おさつチップス」(330円)です。
おさつチップスというと、小さなスナック菓子のイメージが強いですが、ここのは生のさつまいもを縦に薄切りにして1枚1枚揚げているので、かなりビッグサイズ。

揚げたままのプレーンは330円で、プラス60円で「塩バター」、「チョコソース」、「キャラメルソース」などのトッピングを選ぶこともできます。今回はそのままの味を食べたかったので、プレーンを買ってみました。

食べてみると、カリッカリ&パリッパリで、噛めば噛むほどさつまいもの甘みがじわりと口に広がります。揚げてあるのに、こちらも油っぽさを感じさせません。正直言って、こんなに美味しいおさつチップスを初めて食べました。ちなみに、少し残して持ち帰り、数時間後に家で塩を振って食べたのですが、パリパリ感が持続していて、甘じょっぱさが酒のおつまみにピッタリでした。
1日3000個売れる『花月堂』の「ジャンボめろんぱん」

最後に立ち寄ったのは、西参道入り口にある『花月堂本店』。店の前で、若い女子たちが頬張っていたのが「ジャンボめろんぱん」(220円)。1日3000個売れると有名な浅草名物なのです。これもしっかりゲット。
メロンパンといえば、表面の生地がボロボロと崩れるクッキー生地タイプや、逆にしっとりしたタイプとかなど、いろんなスタイルがありますが、こちらのは、こんがり焼き色がついた生地に、少しザラメがかかったオーソドックスなタイプ。

食べてみると外側はサクサクしていて、なんと言いますか、かまどの香りを感じる素朴な味わい。
しかし、このメロンパンの真価は、この先にあります。袋に「やわから注意!」と書いてあるように、中が尋常ではなく超ふわふわなんです。噛むたびにサクフワ、サクフワ。エアリーな感じがとにかくスゴい! 口の中で、パンがふんわり消えていきます。筆者がこれまでに知っているメロンパンにはない食感です。

『花月堂』の公式ページによれば、この食感を出すため、「発酵」に通常の3倍も時間をかけているんだとか。一般的にはタブーに近い発酵時間らしいのですが、発酵学を学んだ店主による独自の技術を生かした製法なのだそうです。
実際、その食感はかなり衝撃的で、お土産用(5個1000円)として追加購入したものをトースターで2分ほど加熱して食べても、店先で食べたサクフワ食感がそのまんま蘇り、店先とまったく同じ味が楽しめました。
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今回ご紹介したお店以外にも、浅草・浅草寺周辺には行列ができるテイクアウト店がまだまだたくさんあります。初詣や旅行で訪れたら、ぜひ買ってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)