千葉在住ライターが、東京の友人に自慢したい、“ピーナッツだけじゃない”県内のおいしいものを気ままに紹介。房総を拠点にした「食」にまつわるあらゆるものを見つめた、飲んで・食べて・知る千葉の風土&food記です。
人気自家焙煎コーヒー店が、海浜幕張に2号店を構えた理由。
(千葉県千葉市美浜区)

都内から友人が遊びに来ると、まず案内するのがJR千葉駅北口の人気コーヒースタンド「豆 NAKANO」。
ブラジルやタンザニアなどのコーヒー豆が常時10種類ほど並ぶ店内は、いつ訪れても香ばしい良い匂い。店主の仲野慶さんが、小さな直火式ロースターで少量ずつ焙煎するコーヒーは、えぐみがなく、スッキリとして飲みやすいため、大学生からお年寄りまで幅広い世代が日常使いしている姿が印象的です。かくいう私も、街の事情に詳しい仲野さんと立ち話をするのが楽しくて、電車待ちの間につい足が向いてしまうのですが。
その2号店であるパイとエスプレッソの店「PIE&COFFEE mamenakano」が、この度、海浜幕張にオープンしました。JR京葉線沿いの埋立地に広がる新都心。駅から徒歩17分の敷地に建設中のタワーマンション「幕張ベイパーク クロスタワー レジデンス」(地上37階建て)の販売ギャラリーが、その場所です。何とも意外な場所への出店ですが、そこには仲野さんの街への思いが隠されていました。
「元々2号店をやるつもりはなかったんですが、このマンション計画には、ただ建てて売るのではなくて、“地元と一緒に街を作る”という方針があると聞いたんです。それなら、街のカルチャーを作る手伝いができるのではと思い、プランナーの方に誘われて出店することにしました」
実は、幕張は仲野さんにとって思い入れの深い場所。2012年に千葉駅前に店を構える前に、最初に営業を開始したのが幕張のシェアスペースでした。千葉駅前の物件への入居の都合上、その営業は短期間で終わりましたが、今もわざわざ幕張から豆を買いに来てくれる常連さんもいるほど。そのため、「もう一度幕張でちゃんと営業したい気持ちがあった」といいます。
「昔からの土地であるJR総武線側(陸側)の幕張と、埋め立て工事によって新しく生まれたJR京葉線側(海側)の海浜幕張には、ちょっとした“断絶感”があるんですよね。このマンションの場所は、両者のほぼ中間でもあるので、二つの幕張を繋ぐ場所になれたら良いなとも思っているんです」
千葉市出身の仲野さんは、進学や就職で都内の街を知るうちに、自分の地元には行きたくなるような個人店が極端に少ないことに気がつきます。その思いが、自身の店の運営だけでなく、街づくりにも積極的に関わろうとする原動力になっているといいます。
「もっと千葉が面白い街になるといいなと思うんです。それは、自分たちが使いたいものを自分たちの街で用意できているかっていうことですよね。僕たちが動いてそういう場を作ることで、下の世代も“自分たちが動けば少しずつでも街は変わっていくものなんだ”って思ってくれたらいいな。そうすれば、世の中はよくなっていくと信じていますから」


